バブル崩壊後のドバイ

Dubai : A new world (The Economist)
ドバイを借金に借金を重ねて拡大路線を突き進んだバブル一色の都市国家だと考えていてはこの都市の本質を見失う。海外より資金を吸い込んでインフラを整備するというドバイのやり方は1950年代から変わっていない。金融危機により派手な建設プロジェクトは中止、もしくは縮小に追い込まれてしまったが、他国より人材を吸収して金融ハブになるという同市の野望は他の中近東諸国よりも実現に近いと思われる。法律や制度、文化の面で欧米の人間にとってはドバイは住みやすい国なのだ。短期的にはドバイ経済は停滞に陥ると見られる。普通の国であれば失業者が発生しても失業保険で一定の消費は見込めるが、労働力の多くを外国人に依存しているドバイでは、失業者は母国に帰国せざるを得ず、人口減少・個人消費の低下が発生し経済活動のさらなる縮小に陥るという問題があるためだ。投機ブームに煽られてやってきただけの外国人の中にも魅力を失って帰国するものも多いだろう。ただドバイで長年ビジネスを行っている同族企業の多くはバブルで浮かれることもなく堅実に商売をしており、簡単に母国に舞い戻ってしまうことはない。