柔軟な労働市場がアイルランド経済を助ける

Charlemagne : Europe's surprising labour flexibility (The Economist)
ポーランドなど東欧諸国がEUに加盟したとき、労働市場を開放したのはアイルランドなどごく少数だった。しかし労働市場を開放したことでアイルランド経済は大きな恩恵を受けることになった。出稼ぎ労働者が多数やってきたので失業率低下にもかかわらず、賃金は安定しており、人口増加による需要拡大も経済を押し上げた。住宅バブルという副産物もあったが。ポーランド系移民がカトリックであることも幸いし社会問題も少なく、移民排他の動きも見られなかった。ここへきてアイルランド経済も悪化しており、さらに柔軟な労働市場アイルランドを助けることになりそうだ。というのもアイルランド経済が悪くなる一方で東欧諸国はインフラ整備などで景気は安定しているため、移民が母国に戻っているためだ。これが失業率の低下につながる可能性がある。労働市場に柔軟性がない場合には、再度入国することが難しいので移民たちもなかなか母国に戻りたがらないという現実がある。自由に出入りできることは、景気がよいときにやってきて悪くなると戻るという行動パターンが生まれ、労働市場の安定につながると言える。