金融危機の政治学

Economics focus : The curse of politics (The Economist)
金融危機の解決を難しくしているのは政治が邪魔をしているためである。効果的な政策が、世論の反発で導入が難しくなるためだ。日本は住専問題で世論の大反発を買ったためにその後の金融危機対策が遅れてしまったという経験を持つ。現在進行中の米国発の金融危機も同じだ。ベアスターンズ消滅後のすぐに、米国当局は金融危機対策のために公的資金を投入しようとしたが、議会を説得するだけの自信がなかったためにリーマン破綻まで先送りされることになった。韓国は比較的早いタイミングでアジア金融危機のときには国内の金融機関の破綻処理に乗り出すことができたが、これはIMFから強制されたと有権者に訴えることができたためでもある。スウェーデン金融危機では少数与党にも関わらず野党の支持を取り付けて公的資金を無制限に使うことができた。米国では金融機関の経営者が高額な報酬を得ていることに世論が反発しているわけだが、もし世論を受けて経営者たちを攻撃するとなるとよけい世論の反発が大きくなり公的資金の追加投入が難しくなる危険性もある。