欧州に追いついた米国の金融危機対応策

Bank recapitalisation : America catches up (The Economist)
米国政府が公的資金で銀行の優先株を取得するという発表は一ヶ月前だったらかなり大胆なものだったが、英国や欧州がすでに先行していることを鑑みると少し色あせて見える。財務省と連銀は、過去の計算違いを穴埋めしつつあるとも言える。まずリーマン破綻を容認したことによる短期金融市場の混乱だ。そして今回の金融危機はあくまでも流動性の危機であるととらえていたことも計算違いであった。今回の公的資金による優先株購入は他の民間投資家を押しのけるほどの条件ではない。要求する金利も高くはないし経営陣に対する要求も控えめだ。ただ大手金融機関にとっては優先株取得は事実上の強制に近いものだったようだ。大手金融機関全社に公的資金を投入することで、投入した金融機関の資産内容劣化の思惑を打ち消す狙いがあったものと考えられる。ただし、今回の資金投入が貸し出し拡大にどの程度寄与するのかは疑問。金融機関以外が供与している信用(自動車ローンなど)も多いし、保有資産の価値が低下する中、貸し出し基準に満たない顧客も増加しているためだ。