国によって大きく異なる政治家の前職

Selection bias in politics : There was a lawyer, an engineer and a politician... (The Economist)
なかなか興味深い記事。国によって政治家の前職が大きく異なっているという話題。対照的なのが、弁護士出身者が多いアメリカとエンジニア出身が多い中国だ。民主主義国家において法律に関わる仕事をしていた人物が政治の世界に進むのは大して意外でもないし大きくずれているわけでもない。しかし中国で特に共産党幹部にエンジニアが多いというのはなんか意外な感じである。しかし原因を聞くと当然なのかもしれないなという気がしてくる。エンジニアになるほうがへたに社会科学系の道に進むよりも共産国家ではトラブルに巻き込まれることが少ないのだ。工学系の学部で体制を批判するような研究をすることはなかなかないだろう。またエンジニアという職業の特性が中国のような全体主義国家には似合っているとも言える。エンジニアは正常に動くことを優先するし、過程よりも結果を重視する傾向があるためだ。
欧米で政治家という職業が変質しつつあるとの指摘もある。かつては他の世界で功績を挙げた人物がなる職業という性格が強かったが、現在は大学を卒業してからすぐに政治家という職業を目指すケースが多いようだ。議員スタッフやシンクタンクなど政治を支えるインフラが整っている国でないと若いうちから政治家を目指すという選択肢は取りにくい。ただ一般社会にふれずにいきなり政治の世界に飛び込むのは世間知らずとなる危険性もある。