焼け太りの格付会社

Rating agencies : The wages of sin (The Economist)
これまた意外な展開である。ムーディーズやS&Pのような格付会社は不適切な格付けを提供したことにより金融危機の原因の一つと考えられている。格付の品質向上を目指すのであれば、当局は格付業界の競争激化を促進する必要がある。SECはこの方向で進んでいるのだが、FRBは逆の方向に向かっているというから皮肉な話である。FRB量的緩和政策の一環としてCPや社債などを担保に資金を提供しているが、担保は大手3社(ムーディーズ、S&P、フィッチ)が格付けを提供しているものに限定している。前回の米国の金融危機の発端であったS&Lの破綻処理では、格付けを提供する会社を幅広く指定したおかげでフィッチが急成長して2強に食い込んできたという経緯がある。いっそ格付を基準にして定めている投資制限を撤廃しろという声もあるが、広く使われているだけにそこまで踏み込むのは難しい。ただ金融危機を奇貨として格付け会社の寡占状況を打破するところか逆に強化してしまっているのは残念な話である。