シティグループ救済における問題点

Citigroup : Singing the blues (The Economist)
シティグループを米国政府は救済に乗り出したが、いくつかの問題点がある。まず経営者・株主ともに充分な責任を取っていないという点だ。配当は最低限に抑えられるものの、AIGファニーメイの株主が負担した損害と比較すると大した負担でもない。経営陣も就任してまもないCEOはともかく、取締役のなかには責任を取るべき者もいたはずだ。次に、TARPにより一貫した救済システムが導入されたにもかかわらず、TARP導入前のように場当たり的な救済に後退してしまったのも問題である。また米国政府が投入した公的資金は、シティグループが抱える不良資産の総額を考えると充分なものではない。それに抱える不良資産の価格にフロアを設けるものでもない。公的資金投入で余裕がでた金融機関が不良資産買い取りに動き出すとの希望も楽観的すぎた。シティグループは今まで発生した金融危機(80年代の発展途上国向け貸出からドットコムバブル崩壊まで)にほとんど関わっており、コンプライアンス上の問題で当局ともめた前歴もある。合併に合併を重ねて規模だけは大きくなったものの、規模のメリットを今だ打ち出せずにいるのが現状だ。ただ同社は現時点では資産売却や分社化は考えておらず、噂されていたゴールドマン・サックスとの合併もなさそうだ(統合後の社名はSachs and the CitiもちろんSex and the cityのだじゃれか?)。