米国の不良資産処理プログラム

America's toxic-asset plan : Dr Geithner's bank rehab (The Economist)
ようやく米国政府は銀行が抱える不良資産を処理する計画を発表したが、まだ完全とは言い難い。連邦政府だけではなく民間資金も活用して不良資産を買い取るのが目玉だ。買い手にはかなり魅力的な条件であり、関心を示す投資家も多いだろう。買い手にとっては儲かるかどうかよりも儲けすぎ批判が懸念されるところだ。特にAIG役員に対するボーナスへの怒りで国中が沸騰している現状を見ると同じ事態が再現しないとは言い切れない。しかしもっとも大きな問題は、売り手(銀行)が積極的にこのプログラムを活用して不良資産を処分してくるのかという点にある。CDOなどの証券ならともかく、貸出債権に関しては市場価格(流動性がないので信頼性も低い)を大幅に上回る価格で計上し続けている銀行も多く、少しずつ損失を計上して自己資本に与える影響を抑えようとしている。今回のプログラムを利用して一気に処分するとなると多額の損失が発生し、自己資本が大幅に毀損、破綻する可能性もある。そのためどのように連邦政府は銀行に不良資産の処分を促すのかが大きなポイントだ。現在大手銀行を中心に行われているストレステストで甘い前提を立てている評価基準を引き下げるように促し、不良資産の処分を促す可能性もある。銀行を破綻させないとなると毀損した自己資本公的資金などを通じて補う必要があるがTARPで与えられた資金の余裕も少なく充分に銀行の資本強化を行えるのかいう懸念もある。