財務省による不良資産買い取り案

The financial crisis : A break in the clouds (The Economist)
米国の財務省が提案した不良資産買い取り計画は極めて大胆なものだ。事実上、財務省は危機を防ぐためならモーゲージに関係なく何でも買うことができると定めているようなものである。しかも買い取りに関しては誰の監視も受けない(議会には定期的に報告するが)し、訴訟に巻き込まれることもないという特権まである。このような巨大な裁量権は、当初の目的である体系的な救済策としての意味を薄めてしまっている。また国家によって資本配分が大きくゆがめられてしまうというリスクもある。また将来の大統領が自分の政策を実現するために利用するという問題も出てくる。さらには、早めに不良資産を処分した金融機関が恩恵を受けることが出来ず、不良資産を抱え続けて問題を引き起こした金融機関を救済することになるという不公平さも生じる。民主党が求めるような、この買い取りプログラムに参加した金融機関の経営陣には報酬の制限を求めるという罰則は、参加する金融機関を減少させ問題の解決につながらないという懸念もある。