メリル・リンチに一杯食わされた格好のバンカメ

Merrill Lynch and Bank of America : No gain, no Thain (The Economist)
リーマン破綻後、続く破綻予備軍として標的にされたのがメリルリンチ。単独の生き残りが不可能と見て駆け込み寺として助けを求めた先がバンカメだった。数日程度のデューデリジェンスで合意した買収金額が500億ドル。しかし現在のバンカメの時価総額は360億ドルしかない。買収後、ぼろぼろとメリルリンチの資産内容の悪化が表面化してきたためだ。しかも資産内容の悪化がバンカメ側に知られるとボーナス支給が困難になると見て、メリルリンチ側は前倒しで社員にボーナスを支払うという行動にも出ている。ここまでコケにされるとバンカメの経営陣も黙っていられず、メリルリンチのCEO(将来のバンカメCEOの後任になるとも見られていた)を事実上追い出すことになった。バンカメはメリルリンチ買収から手を引くことも検討したようだが、さらなる市場の混乱を避けるために当局からの強い指導のもと計画通りに買収を実行、公的資金の追加投入も受けることになった。バンカメにとってはさらに、買収したメリルリンチの営業マンをどのように自社と統合するかという大きな問題も残っている。さらにはバンカメのCEO自体の首も危なくなってきた。