20060808

  • 大手モーゲージ業者のCountrywide FinancialのCEOはモーゲージで50年以上の経験を有しているというのが大きな強みだ。その間には多くの好況・不況があり、同社はこれらのサイクルをうまく乗りこなしてきたという実績がある。このCEOが言うには、住宅市場は今後冷え込むので業績が悪化することを覚悟しておいたほうが良いという。同社も住宅市場の低迷に備えて守りの体制に入っている。同社の最大のライバルであるWells Fargoは逆に強気に見ており、貸し出しを積極的に行っている。そのためCountrywideに奪われていた貸出残高の首位の座を再びWells Fargoが奪い返す可能性も大きい。アナリストの中にはCountrywideの慎重さを好ましく考える向きもあれば、逆にマイナスと見る向きもある。同社の問題点としては、LehmanやBear Stearnsといった、今まではモーゲージ証券化を行っていた投資銀行が、モーゲージの貸し出し分野にまで参入してきたという点がある。また支払いを任意に変更できるオプションARMsという種類のモーゲージが同社のポートフォリオに占める比率が高いことも、市況が悪化した場合に貸し倒れが増加するのではないかとの懸念を生んでいる。

  • 日本の株価は米国に連動している時期がしばらく続いていたものの、昨年は大きく変化した。当初の日本の景気回復は輸出、特に米国向けが主導していたために、米国経済の動向が日本の株式に大きく影響を与えていた。この構図が変わったのが昨年である。景気回復が進むにつれて、輸出ではなく内需が盛り上がってきたためだ。日本と米国の株価連動関係が昨年崩れたのはこのような背景がある。しかしメリルリンチのストラテジストによると、日本と米国の株価の連動関係は崩れてはいないという。そのため外国人投資家が、分散効果を狙って日本株に投資するのは意味をなさないと指摘している。

  • 高成長を続けてきたHome Depotは、近年不振に陥っている。既存店売上成長率は悪くは無いものの、かつての勢いは失われている。同業他社との競合も厳しい。そんななかGEからやってきたCEOが同社のビジネスモデルを変換しようと努力している。全米に展開した店舗ではなく、建設業者とのビジネスを強化しようとしている。同社は多額の資金を投じて、建設業者向け卸売り業者を買収している。建設業者とのビジネスは長い信頼関係に基づくものであり、低価格だけで食い込めるものではない。そのため買収により顧客を取り込もうとしている。買収した後も人員削減は行わず、社名もそのまま、企業文化も維持しているのが特徴だ。また建設業者向けの金融会社も買収しており、GEにおけるGE Capitalのような存在になる可能性もある。ただ同社が建設業者とのビジネスを強化していることに対して不満を見せる投資家もいる。利益率が低いためだ。また店舗でのサービスが低下しており、店舗の改装に資金を投じたほうが良いのではないかとの批判もある。
    Home Depotは日本で言うところのホームセンター。「ホームセンター」で検索するとhttp://www.marubeni.com/research/4_industry/020807research/hombun.htmlというページを見つけた。
  • 韓国ではマッサージ師は盲目の人しか免許が与えられない。しかし最近、韓国の最高裁判所で、盲目の人にしか免許を与えないのは差別であるとする判決が下された。この判決をめぐって、マッサージ師たちが抗議運動を行っている。中には抗議のために死を選んだ人までいた。マッサージ以外の職業を選べばよいのだが、実際問題として盲目者には働ける職場が少ないのが現状だ。政府もマッサージ師たちには同情的であり、健常者の参入に何らかの制限を設ける方針を検討している。
    盲目の人にしかマッサージの営業ができなかったという事情の背景には、日本による支配という歴史があるようだ。この記事を知ったのは、The Economistのトップページ(http://www.economist.com/)の右下に掲載されている「Infrequently asked questions」というクイズによる。なかなか面白い問題が多い。毎日変わるようだ。