営業権の償却が利益圧迫要因に

Corporate write-downs : The goodwill, the bad and the ugly (The Economist)
グッドウィルと聞けば、人材派遣会社を連想するが、企業会計では営業権やのれんを意味する。買収した際に、買収金額と被買収企業の簿価との差額が該当する。米国では以前には営業権は減価償却のように一定期間内で償却するようになっていたが、会計規則の変更により、定時の償却は行わず、毎年減損会計の対象となる。資産内容が悪化していればその分一気に償却するという方法だ。S&P500の総資産の1割が営業権に相当すると分析されている。どの程度償却するかは会計士の判断にゆだねられるが、不景気の中、会計士も厳しい判断を出すようにプレッシャーをかけられている。甘い判断をすれば自分たちが訴えられる可能性もあるためだ。市場では必ずしも営業権の償却による損失がネガティブに受け止められる訳ではない。一時費用なので無視する投資家もいるためだ。しかし償却により自己資本が減少すると、レバレッジが高まり、銀行から融資を受けるのが難しくなる可能性もある。また経営陣の過去の判断が間違っていたことも示唆するので経営者に対する信任も低下するかもしれない。