20050527

以下の記事を読んだ。
同時多発テロを境に、積極的に政府機関と協力姿勢をとるフェデックス(Fedex)。自社データベースを政府機関に解放し、クレジットカード情報まで見せている。令状も求めずにここまで協力しているのは同社だけではない。Time WarnerやWestern Unionなども同様に顧客情報を令状もなしに開示しているのだ。このような行動は顧客のプライバシーを侵害しているのではないかとの懸念も生まれている。しかし社会の敵であるテロリストと戦うためにはこの程度の協力は不可欠だと考えているようだ。また自社設備がテロ行為に利用された場合のイメージダウンも計算に入れている。Fedexは特別に社内で警察まで組織することにより、犯罪者データベースへのアクセスまで獲得している。政府はかつて、テロリスト対策として、民間人を組織化して怪しい行動を政府に報告させるというシステムを検討していた。この計画は企業などの反発で中止になったが、Fedexの社員達はこのシステムの精神にのっとって、犯罪行為と疑わしい荷物などがあればすぐに当局に連絡するようになっている。


・生命保険を投資対象とする動きが現れている。保険料の融資を受け、被保険者(高齢者が対象)が亡くなった場合には、保険金で融資の返済及び手数料を支払い、残りは遺族がもらうという仕組みである。幸運にも亡くならなかった場合は、融資を返済するか、もしくは保険契約を譲渡するという選択肢が与えられる。更に魅力的に見せるために、被保険者は保険に加入したら前払いで保険金の一部が提供されるという特典をつける場合もある。これは赤の他人が自らが亡くなったときに利益を得るという仕組みであり、生命保険業界でも物議を醸している。保険会社の中には、このような取引に関わらないように動いているところもある。このような投資対象としての生命保険が広まると、今まで受けていた税制上の優遇策が廃止されてしまうのではないかとの懸念があるのだ。融資の資金はヘッジファンドなどが提供している。通常の融資よりも利回りが高いことがメリットになっている。保険会社の営業マンにとっても高い生命保険を販売できるので魅力的な取引になっている。


イスラエルキブツに商業化の波が押し寄せている。キブツでは住民には所有物は存在しない。共同で生活し、子供でさえコミュニティ全体のものとして扱われる。衣食住すべてが無料だったが、最近では財政難で住民から衣食住のサービスに関して料金を徴収するところも出てきた。所有権を認める動きも出ている。積極的に外部資本を受け入れるようになり、マクドナルドなどが入居するショッピングセンターを建設するキブツも登場している。商業化するキブツは、物質主義に染まりつつあるイスラエル社会を反映しているとの指摘もある。


・銀行と同じように、企業貸付を強化するヘッジファンドM&Aに関わる取引の資金をヘッジファンドが融通するようになってきた。ヘッジファンドは上場していないために、柔軟に資金を貸し付けることができるのが有利な点となっている。商業銀行や投資銀行と比較してヘッジファンドの資金量は小さいものの、レバレッジをかけることにより多額の貸付を行なうことができる。ただ銀行と異なり貸付ポートフォリオが分散されていないために市場が悪化するとリスクが顕在化する可能性もある。特にヘッジファンドの貸付先はリスクが高いところが多い。ただヘッジファンドは経営支配権を握るために貸付を行なうことも多く、株主と利益相反関係になる懸念も指摘されている。またリスクのヘッジのために、貸付先企業の株式を空売りすることもあるという。


胎児殺しという汚名を返上するために奮闘しているチュニジアの考古学者の紹介。チュニジアイスラムの影響力向上に危機感を感じており、イスラム登場以前のカルタゴの栄光を梃子に、チュニジアアイデンティティを確立しようとしている。カルタゴは2000年以上前にローマ帝国に滅ぼされたのだが、ローマに匹敵する文明を有していた。それに世界最高級といわれる武将、ハンニバルも擁していた。ただ一つ暗い歴史を抱えている。人口制限のために胎児を殺していたという歴史があるのだ。これは古代ローマの頃からあり、チュニジアの考古学者は、ローマが自らの支配を正当化するためのプロパガンダとしてこのような事実を捏造したのだと主張している。ただし、米国やイスラエルの歴史家は胎児殺しが行なわれていたという事実が存在すると主張しており対立している。チュニジアでは歴史教科書でもこの点はあまり触れられておらず、観光ガイドは、胎児殺しは存在しなかったと答えるように指導されている。