20050928

以下の記事を読んだ。
・中国でロックスター並みの人気を誇るピアニストがいる。名前はYundi Liといい、同氏の人気は中国におけるクラシック音楽の人気の高まりを示している。中国では経済成長とともにクラシック音楽の人気が高まっており、これは20世紀初頭のアメリカの状況に似ている。中国におけるCD販売のうち、クラシックは1割程度を占める。逆に米国では3%程度であり、オーケストラでは財政難に苦しんでいるところも多い。中国では文化大革命のころに、西洋文化への弾圧が行われ、多くの芸術家のキャリアが途絶えてしまった。このような人たちの子供は親たちから大きな期待がかけられているのだ。中国ではピアノは高級品であるが、我が子のための買い求める親は多く、ピアノの生産台数は急増している。

この記事を見たとき、ホリエモン似のランランのことかと思った。実力のある多くのピアニストがいるんだな。


ヘッジファンドの普及に伴い、ヘッジファンドの格付けへのニーズも増大している。そのためモーニングスターやロイターなどの大手企業を初め多くの企業がこの市場に参入している。しかし問題も多い。規制で情報開示が義務づけられている投資信託と異なり、ヘッジファンドは情報をあまり公開しない。加えて運用成績も良好なファンドのものしか提供されないという傾向があるため、母集団がゆがんでしまうとの懸念もある。また様々な運用戦略を採用するヘッジファンドがあるため、総合的な格付けを行うのは難しいとの指摘もある。しかしモーニングスターが昔、投資信託の格付けを開始したときも同様の意見があった。格付けのニーズが増大してくれば、格付けをしてもらうために、ヘッジファンド側から積極的に格付機関に情報を開示するケースも出てくると見る向きもある。

生存者バイアスが投資信託よりもかなり大きくなってしまうのは今後も解消されないかもしれない。


・老後資金を蓄えるためには、良好な運用成績の投資信託を選ぶことはあまり重要ではないとの研究がもうすぐ発表される。これは米国のパトナム社が行ったものであり、優れたファンドを選ぶ能力や、優れたアセットアロケーションを行う能力よりも、月々どの程度貯金するかという点が老後資金の貯蓄額に大きな影響を与えるとしている。投資家は毎月の貯金額を増やすという基本を忘れて、運用成績のよい投資信託を選ぶという些細な点に注目しているとしている。

当たり前のことだとも思える。<- これも後知恵バイアスかも。


アメリカン・エクスプレスがフィナンシャルプランニングの部門をスピンオフすることになった。分離して成立する企業はAmeriprise Financial(AMP)といい、株式は来週月曜日から取引が開始される。同社は昔はアメックスの大きな収益源だったが、現在はカード部門などが好調な業績を上げる中で、フィナンシャルプランニング部門は低迷していた。加えて成績の悪い自社運用のファンドを投資家に押し込んでいたのではないかという疑惑も持たれていた。同社はフィデリティやメリルリンチなどの強力なライバルと戦うことになるが、強みは幅広い商品ラインナップである。同社の取り扱い商品には保険まで含まれているためだ。また同社は多くのアドバイザーを抱えていることも強みだ。金融機関では最多のCFPが所属している。同社の事業構成は外部から見てわかりにくいことがアナリストには不満の種となっている。アナリストの中には同社の実態は保険会社であると指摘するものもある。来週以降どのように株価が推移するかは、アメックスの大株主であるウォーレン・バフェットがどのように動くかに大きく左右される。AMPはS&P500に含まれることになるので、少なくともインデックスファンドからの売り圧力は抑えられる。

最近のBusiness Weekにもこの話は載っていた。


ユニクロを運営するファーストリテイリングの株価が急騰している。日経平均の構成銘柄に採用されたという理由もあるが、同社が現在進めている経営戦略を評価した動きとも言える。同社は過去に英国に進出したが、うまくいかず規模を大幅に縮小している。しかし再度海外進出を強化している最中だ。しかし進出のペースは予想を下回るゆっくりとしたものとなっている。先日は米国に出店し、その後は中国、韓国に出店する予定だ。また商品ラインナップに関しても強化を進めている。店舗を巨大化させるため、扱う商品数も増やす必要があるためだ。ニューヨークや東京にデザインセンターを設け、最新の流行を取り入れた商品を提供する体制も整えつつある。株価は急上昇した後だけに今後の見通しに関してはアナリスト間でまちまちである。

いつの間にか、日経平均採用銘柄になっていたのか。


・業績低迷に悩むレコード業界の一つの問題が、コンサート会場で録音されたブートレグ海賊盤)の存在である。すでにコンサート会場でアーティストの許可の下、録音してライブ終了後に公式ブートレグとして会場で販売するという仕組みは存在している。これを行ってるのがラジオ局Clear Channelの子会社のInstant Liveだ。しかしレコード会社と契約を結んでいるアーティストは、レーベルとの交渉が必要なためにマイナーなバンド間でしか普及していなかった。最近、大手レーベルのユニバーサルと同社は契約を結び、所属するアーティストが同意すれば、同社のサービスを利用できるようになった。海賊盤への対抗策の一環である。しかし、どの程度アーティストが参加するのかは未知数だ。ライブそのものを手を加えずに販売するのは、アーティストがいやがる可能性もある。また U2のようなメジャーなバンドの場合、会場で多数のCDを用意できるかという問題もある。

ライブ終了後にすぐにCDを購入できるというのは魅力的。パンフレットなんかよりもずっといい。ブルース・スプリングスティーンもこのようなCDを出して欲しい。山のようにCDが出そうだ。


・イタリアの高級ブランド企業が大きな賭けを行っている。グッチやプラダバレンチノ、フェラガモなどは今まで低価格の商品は東ヨーロッパや中国などの低コストの国で生産していた。しかし最近では商品ラインアップの中の最も高価な商品でさえ海外にアウトソースし始めている。背景には、まず消費者の好みの変化がある。Made in Italyというタグよりデザインを重視する顧客層が増えてきているのだ。加えて、高級ブランドと同じような商品を低価格で販売する企業からの価格圧力もある。そしてユーロ高が海外に輸出する際の競争力を失わせていることに対抗する方法でもある。しかしいくら品質に注意を払っているとはいえ、海外に生産を移転するのは大きなリスクをはらんでいる。低迷するイタリア経済に与える影響も無視できないが、中国などで生産すると、消費者も高い価格を支払うことに疑問を感じる可能性も大きい。実際に生産を移転し始めた企業の中には、顧客からの要望でイタリアに生産を戻したケースもある。また生産コストは低いものの、物流コストが予想外にかかってしまい思ったほどのコスト削減を実現できなかった場合もある。

高級ブランドはイメージが極めて重要だから、なかなかコスト面だけで海外への生産移転を進めるのは危険な気もする。