20050526

以下の記事を読んだ。
・数年以上にわたる不動産市場の上昇により、長い間低迷にあえいでいたボルチモアなどの町でも回復の兆しが現れている。ボルチモアは過去50年間で人口の3 分の1が減少した。犯罪の増加などにより郊外に人口が移動したためである。しかし住宅価格が極めて安いことに引き付けられた投資家達が積極的に不動産の取得に動いている。そのためボルチモアでの住宅価格も上昇基調にあるのだ。このような動きはフィラデルフィアオークランドなどでも見られる。ただ金利が上昇した場合に、投資家達がどのような行動を取るのかは不透明であり、不在地主が積極的に不動産の価値の向上に努めるのか懸念もある。ボルチモアの回復を主導しているのは90年代後半に就任した市長である。住宅環境を改善すべく積極的に様々な施策を取り入れた。犯罪を減少させるために、多くの警察官を投入したおかげで、まだ高水準とは言え、犯罪の減少率は全米平均を上回るものとなっている。ボルチモアはワシントンDCから電車で40分程度という距離にある。しかし住宅価格の格差は倍以上あるのだ。そのためワシントンDCの住民に対してボルチモアへの移住を訴えかける宣伝も行なった。公的教育に関心のない、ゲイが大きなターゲットポイントだという。彼らは歴史的な建造物の価値を評価してくれるためだ。また子供を抱えていて教育水準を気にする人たちには、住宅価格が安い分、教育にお金を回すことができると宣伝もしている。


・インドにおけるユニリーバの販売戦略の紹介。インドでは都市部は競争が厳しくなっており、利益率も薄い。しかし田舎ではまだまだ浸透できていないことに目をつけ新しい販売戦略を考え出した。マイクロクレジットを活用するのだ。マイクロクレジットは経済的な自立を促すために100ドル程度の小額の融資を行なうものである。融資を受けた者は、資金を用いて家畜や農機具などを購入している。マイクロクレジットは公的な機関が始めたものの、返済する可能性が高いために民間企業も参入するようになった。ユニリーバマイクロクレジットで資金を得た人たちを組織化して、自社製品の代理店として活用している。自ら参入することができない過疎部でも販売を進めることができる。営業のための様々なセミナーなども提供している。マイクロクレジットを提供している機関も、大企業からのノウハウを得ることにより、他にも販売できる商品があるのではないかと考えるようになった。既に靴や生命保険なども同じような方法で販売されるようになっている。


ウォーレン・バフェット率いる、バークシャー・ハザウェイが久しぶりに巨大買収を行なった。英国のエネルギー企業(Scottish Power)から米国の発電・送電事業の子会社であるPacifiCorpを買収したのだ。今後も電力事業には多額の投資を行なうという。米国の電力業界は細分化されており、信頼性を高めるための設備投資を行なおうにも資金がない状況にある。バークシャー・ハザウェイという配当を行なっていない企業が親会社になることは経営面で大きく有利となる。細分化されている電力業界は1990年代に行なわれたグラス・スティーガル法の撤廃以前の銀行業界に匹敵している。業界の統合が不可欠と見られているのだ。しかし規制が厳しく、巨大化することは現在の法制度では難しい。現在、連邦議会では電力会社の統合を防いでいる法律を撤廃する動きが進んでいる。この法律は大恐慌時に制定されており、時代遅れの感は否めない。


・経営者が会社所有のジェット機を利用することに関しては昔より批判があった。しかし会社側は自家用ジェット機は時間の節約になるため効率的と反論してきたのだ。しかし経営陣は必ずしも社用として自家用ジェット機を利用するのではなく、私用でも頻繁に利用している。この場合、当然経営陣は間接的に報酬を受け取っている。このような特典は経営者の報酬情報にはあまり開示されてこなかった。最近はSECがこの分野での情報開示を企業に求めてきており、徐々に実態が明らかになりつつある。予想した以上に、経営者は私用で自家用ジェット機を利用していることがわかったのだ。この場合どのように費用換算して報酬として計上するのかは様々な見方がある。一番安いのは内国歳入庁(IRS)の公表レートである。このレートで経営者は自家用ジェットの飛行費用を所得として課税されるのだ。会社によってはこの課税分を穴埋めるために経営者にその分、ボーナスを提供することもある。このレートは極めて低く、実態を表していないとの批判も多い。より適切な方法として主張されているのは追加コストで換算する方法である。私用で飛行機を飛ばした際に、追加的に発生したコストを経営者への報酬として計上するのだ。しかしこの場合、最も大きなコストである、飛行機の減価償却分が反映されないという問題がある。そのため、外部企業からチャーター便を利用した場合に支払う市場価格を元に経営者への報酬を算出すべきとの声もある。