親は勤勉だけど子どもはそうではないアメリカ

Lexington : The underworked American (The Economist)
LexingtonはThe Economistのコラムの中でも興味深い話題が多い。今週はいかにアメリカの子どもが勉強しないかということがテーマだ。コメント数もかなり多く、主張には賛否両論といった感じなのだろう。アメリカ人は自らを勤勉でワーカホリックと自認している。特に長期間のバカンスを取得するフランス人と比較すればなおさらだ。休みばかり取ってろくに働こうとしない欧州をバカにする風潮もある。しかしなぜかこのように勤勉なアメリカ人も子どもになると一気に怠け者になってしまう。米国では1年に180日しか学校に通わない。OECD平均は195日だ。東南アジア諸国では200日を超える国も多い。しかも一日あたりの授業時間も少ない。米国では一週間の授業時間は32時間。スウェーデンでは60時間だ。しかも家で宿題にあてる時間も少ないときている。このように学校で過ごす時間が少ないのは、貧困層の子どもにはデメリットとなる。学校外で面倒見てくれる人が少ないためだ。
このような米国の教育の問題に懸念を見せる政治家も少なくない。草の根では長時間の授業で成績を向上させているプロジェクトも存在する。しかし連邦政府は教育にはあまり影響力を持たないのが現状だ。教職員団体、サマーキャンプ業界(夏休みが少ないと当然儲けも減る)といった既得権者も改革に抵抗している。また親もそれほど子どもを学校で教育して欲しいとは考えていないようだ。米国人にとって子どもの理想像はハックルベリー・フィンであり、自分の子どもを詰め込み教育で苦しめたくないようだ。しかしそうこうしているうちに、成績優秀なアジアの子どもたちが成人して米国人の仕事を奪ってしまわないとも限らない。