第2のスプートニクス・ショック

Lexington: China in the mind of America | The Economist
中国の急激な経済成長とそれに伴う国際社会での地位向上は、アメリカ人にとっては自国の立場を脅かすものとして不安を誘っている。また中国はクリーンエネルギーなどの、今後の成長市場と見られる分野に多額の資金を投資していることも、米国が遅れているのではないかという恐怖を煽っている。そこで現在の米国をスプートニクス・ショックに似た状態にあると見る政治家は多い。宇宙開発でソ連に遅れていることを米国人の目に明白に晒したスプートニクスの打ち上げに、現在のアメリカが置かれた状況をなぞらえているのだ。
しかし両者には大きな違いがある。中国は長い間、高い成長率を実現しているので、急に発生したショックというものは存在しない。また、更に大きな違いとして、ショックに対応して米国は何を行うべきか、明確な政策が見当たらないことだ。スプートニクス・ショックの場合は、宇宙開発に多額の資金を投入するという明確な回答があったわけだが、現在においては、台等する中国に対する保護主義というのも回答の一つかもしれないし、民主党が求めるような一層の財政支出も回答かもしれない。明確な方向性は存在しないのだ。