保護主義の脅威

Globalisation and trade : The nuts and bolts come apart (The Economist)
世界経済の急減速とともに貿易も急激に縮小している。この記事を読んでよく分かったのだが、なぜ世界経済の減速よりも貿易の減速の方が激しいのか。理由は貿易統計はあくまでも総額を集計しているにすぎず、付加価値を集計している訳ではないためだ。サプライチェーングローバル化することは、多くの国にまたがって生産活動が行われることを意味し、国境を越えるたびに貿易量が何重にもカウントされることになる。そのため最終製品の生産のぶれが貿易量を大きく変動させることになる。保護主義が広がれば、サプライチェーンにも大きな打撃となる。保護主義といえば自国製品を守るために関税を引き上げるといった政策を連想するが、現在広まりつつある保護主義は別の形態を取りつつある。環境や安全を口実にした規制の導入や、補助金の提供などだ。関税自体を引き上げてもWTOの規則に反するとは限らない。WTOで定められた関税上限以下に抑えられている場合が多いので税率を引き上げても、規則に反しないのだ。