予想以上につまずいたオバマ政権

Barack Obama's progress : Coming down to earth (The Economist)
1月に就任以来、オバマ政権は予想以上にトラブルを抱え込んでしまったように見える。閣僚に就任するスタッフが税金などの問題を抱えていることが分かり思っても見ないことに辞退が相次いだこともトラブルの一つだ。指名するスタッフにさらなる問題がないように身辺調査を念入りにやっている結果、財務省では重要スタッフのほとんどが決まらないという異常事態に陥っている。これだけではなく超党派で政策実現を目指すという公約もいつのまにか吹き飛んでしまった。景気刺激策は撤廃を進めると公約していたばらまき(pork barrel)で埋められている。オバマ政権の問題点として挙げられているのが、あまりにも多くのことを同時に進めようとしているところにある。経済問題だけでも相当な労力が必要の筈だが、同時に健康保険制度の改革、教育改革なども行おうとしている。
The Economistとしては昨年オバマ支持を表明しているだけに、同情的なスタンスで記事は書かれているように見えた。"America’s political system, unlike Britain’s elective dictatorship, is designed to be frustrating. Power is divided. Congress uses its position to inject bloat into legislation. Presidents ricochet between success and failure."という文章が印象的。誤解されがちだが、日本や英国のように議院内閣制を採用する国のほうが行政府のリーダーが持つ権限は大統領よりも非常に大きい。議院内閣制度では三権分立というよりも二権分立になるためだ。