20050724

以下の記事を読んだ。
・米国では20年以上前より、多くの犬や猫に無線タグが移植されている。無線タグの中にペットの識別コードを入れておくことで、迷子になった場合でも収容されたシェルターでスキャナーを使って情報を読み出し、飼い主に連絡を取ることが可能になるのだ。この業界で規格戦争が勃発している。すでに米国市場で長い間営業している企業が採用している方式は独自方式であり、しかもコードが暗号化されている。詐欺を防ぐためだと会社側は主張しているが、競争を抑制するためだと見る向きも多い。欧州ではISOが認定した国際規格に基づいた無線タグをペットに埋め込んでおり、価格も米国市場と比較して安い。そのため米国市場でも国際規格を用いて参入する企業が登場している。しかし問題なのは二つの規格の間では利用する周波数帯が異なるという点である。そのためすでに多くのシェルターに導入されているスキャナーでは国際規格に基づいた無線タグを読み取ることができないのだ。そのため自分のペットに無線タグを入れておいたにもかかわらず、タグの存在を発見してもらえず安楽死処分されてしまった犬も存在している。


人民元は厳しい管理下に置かれているために、為替変動から利益をあげる投機家にとっては参加するのが難しい。しかしだからといってヘッジファンドなどはだまって見ている訳ではない。NDF(nondeliverable forward)や他のアジア通貨でのトレーディング、人民元で影響を受けるものと見られる先進国の株式などを利用して人民元の将来の切り上げから利益を上げることを狙っていた。NDFの市場規模は最近急速に拡大している。今回の切り上げ前にはNDF市場を見ると1割程度の切り上げが予想されていた。切り上げが小幅だっただけに、まだまだ切り上げるとの見方は強い。NDF市場は人民元だけではなく、ロシアやブラジルの通貨でも存在している。また人民元が切りあがると、中国の購買力が向上し、高級品を買う余力も増すとの見方もある。そのためブランド企業の株を買う動きもあった。


・たばこの販売価格は、税金があいついでかけられたこともあり、20年以上前と比較してインフレ率を大幅に上回っている。そのため消費量も減少しており、政府は喫煙という問題に関しては有効に対処しているように見える。しかし同時に肥満も急増しており、経済学者の中には、喫煙をやめたことが肥満増加の原因となっているのではないかと見る向きもある。ニコチンはカロリーを消費する一方で、食欲を抑えるという効果があるため、禁煙すると短期的には体重は増加することが多い。しかしこれが肥満増加に結びついているかどうかは学者の中でも意見が分かれるところだ。「フランス女性は決して太らない」でも書かれていたように、クロワッサンをよく食べるフランス女性が太らないのは、アメリカ女性と比較して喫煙率が高いことが原因かもしれない。


・ハリウッドの映画会社にとっては、製作資金を調達するのは昔から大きな問題であった。昔は資産家から資金を調達することもあったが、この場合は資産家からキャストや脚本などに注文をつけられるという問題があった。その後節税商品として映画製作に関わるパートナーシップなども利用されていたが、この方法は税務当局の規制の変更により利用できなくなってしまった。そのためハリウッドはいかに、株主利益の希薄化を行わずに、内容に関しても注文をつけられない形で資金を導入することができるか頭を悩ましているのだ。そこでヘッジファンドからの資金導入を進める動きがある。パラマウントメリルリンチと組んでヘッジファンドから資金を導入している。映画の興行収入(ほとんどの場合赤字)だけではなく、DVD販売や放映権、ライセンス収入までも含むすべての収入をシェアするというものだ。ほかにはJP Morganも同様の調達手段を提案している。しかし問題なのは過去の収益をそのまま未来に当てはめていることだ。環境が大きく変わる中、過去の高い収益率がそのまま将来も実現できるのかどうかは大いに疑問だ。


・ハリウッドの映画会社は、興行収入以上に宣伝費を投じている。そのため興行収入では完全に赤字になるわけだが、海外市場に配給する際に、米国市場での興行収入のデータを用いて有利な条件を引き出すことができるというメリットがある。有料チャンネルへの放映権販売でも同様である。またレンタルビデオとしてビデオチェーンに販売する際には、チェーン店はほぼ自動的に興行収入に応じて発注量を決めるという習慣があった。そのため多額の宣伝費をかけてでも興行収入を上げる必要があるのだ。しかしDVDやネットの普及は今までの構造を大きく変えている。DVDの販売はウォルマートなどの巨大小売店が仕切っており、彼らは必ずしも興行収入に応じて仕入れる訳ではない。しかも一定期間売れなければ返品を自由に行うことも可能なのだ。またネットを経由して海賊版がすぐに流通してしまう事態により、米国と海外でタイムラグをもうけずに同時に公開するようになりつつある。これも米国内の興行収入データで海外の配給会社から有利な条件を引き出すという行為を困難にしている。