20070307

  • 米国の新聞では、ニューヨークタイムズに見られるように、書評だけで単独の子冊子になっている場合が多い。しかし、出版社からの広告収入が減少する中で、書評が新聞に占める地位も低下しつつある。出版社は新聞の書評セクションに広告を出すよりも、他のマーケティングに投資することを好んでいる。代表的なのが、書店におけるプロモーションだ。目立つ場所に自社の書籍を展示してもらう。もちろん無料ではなく1冊につき1ドル以上払うことになる。しかし、本を購入しようとやってきた顧客に対してPRするには絶好の機会だと出版社では見ているようだ。

  • 米国では高級ワインへの需要が高まっている。ウォール街の景気がいいために、贅沢品への需要が全般的に上昇していることに加えて、ワインへの投資家も増加しているためだ。しかしその一方で、偽物のワインも増加している。米国連邦検察は、偽物のワインに関する捜査を開始した。クリスティーズなどのオークションハウスなどに召喚状を発行している。オークションハウスにとってもワインは稼ぎ頭になりつつある。オークションで売却した方が高い値段になると考える売り手が多くなってきたためだ。ワインの偽造はより洗練されてきており、オークションハウスや高級ワインを販売する店も、厳しくチェックしているものの、追いつかないようだ。

  • 米国ラジオ業界大手のClear Channel Communicationsはプライベート・エクイティファンドから買収提案を受けている。経営陣は受諾しているものの、投資家の反対は根強い。そのため今月の株主総会を前に、経営陣は説得工作に乗り出している。反対する投資家は、反対のポーズを取っているだけという可能性もある。反対することで、ファンドからより高い買収価格を引き出すことができるのではないかと踏んでいるためだ。ファンドも関係者によるとビタ一文価格を引き上げないとしている。悪しき前例を作りたくないためだ。株式市場が軟調に推移していることは、買収成立をもくろむ経営陣には有利に働く。経営陣は持ち株の多くはファンドに売却するものの、引き続き経営にとどまる予定だ。

  • 日本の鉄鋼業界は、ミタル・スティールからの買収圧力を感じて、敵対買収を防止するための対策を着実に実行している。ポイズン・ピルや株式持ち合いなどだ。4月からは公正取引委員会からさらに援軍が届くことになる。合併に際して審査する基準が、国内市場をベースにしたものから、世界市場をベースにしたものに変更になる。これは世界的なトレンドだ。新しい審査基準では、国内市場ではいくらシェアが大きくなっても、世界市場におけるシェアが低ければ、合併が認められることになる。敵対買収に対抗するために、合併して規模を大きくすることができることになる。新日鐵JFEとの合併さえ可能になる。敵対買収への対策は、株価を押し下げることになるが、国内企業同士の整理統合は株価を押し上げる効果があると見られている。