20050522

以下の記事を読んだ。
AIGのCEOであったGreenberg氏と元NASDAQのCEOであったZarb氏は数十年にわたって友人として付き合ってきた。しかしこの友情も AIGでの会計不祥事で壊れてしまうという結果になった。Zarb氏はGreenberg氏の要請によりAIGの取締役に就任しており、自らを擁護してくれるものと考えていたのだが、Zarb氏自らがGreenberg氏追放に動いたためである。そしてZarb氏はAIGの会長に就任している。 Greenberg氏からみればZarb氏の動きは会社のっとりに等しいと映っているようだ。Zarb氏は会長に就任した後、積極的に行動し、組織改革などを進めている。Greenberg氏は株主総会が到来するまでは取締役であるに関わらず、Zarb氏と同じ部屋にいることを拒み、取締役会には出席していないという。友情よりも株主への責任が重視されるのは、従来の構図の変化であり、好ましいことであると企業統治の専門家は見ている。


・他の業界で活躍した人物が、ベンチャーキャピタリスト(VC)に転進しても必ずしもうまく行くとは限らない。高い収入、将来性あるタレントを発掘する映画プロデューサーに似た仕事内容などが魅力的に映り、90年代後半には多くの人がVCに転進してきた。現在、ヘッジファンドに転職しようとしている人たちと同じようなものである。しかしこの業界では離職率がかなり高く、転進してきた人の多くもこの世界から去っているのだ。一人前のVCを育てるのは戦闘機パイロットを育成するようなものだとクライナーパーキンスのDoerr氏は指摘している。育成するのに時間がかかる上、リスクを取りつつも大損しないように注意することを学ばなければならないのだ。また自分のお金では高い収益を上げることができても、他人のお金を運用するとなると難しい面も出てくると指摘する元VCもいる。VCにとっては技術的な知識はじゃまなだけと主張するものもいる。それよりも人間としての魅力、技術が社会に与える影響への洞察力などが大事だと見ているのだ。


クルーグマン教授のコラム。先日、米国財務省は中国の為替政策を批判する報告書を発表した。しかし自らの問題を直さずに中国を批判するのはおかしいと指摘している。財政赤字が拡大する中、米国が低金利を実現できているのは、中国が人民元を抑えるために行なっている為替操作で発生したドル買いのおかげであるためだ。低金利が実現しているからこそ、住宅市場も上昇し、建設業界の雇用も増加しているのだ。政府が人民元を不当に低くしているとの批判を行なっているのは、製造業からの政治的圧力によるものである。中国が米国の主張を受け入れ、為替政策を変更した場合に発生する影響(金利上昇、住宅バブル崩壊など)を政府が考えているようには見えない。確かに人民元が切り上がると長期的には米国経済にも恩恵をもたらすと考えられるが、短期的な悪影響は大きい。


・ペットの飼い主にとっては、自分が死んだときにペットがどうなるのかは大きな問題である。飼い主を失ったペットはシェルターに収容され、多くのペットが安楽死されているのだ。収容されたことにより性格が悪化し、引き取り手がなくなってしまうということも多い。そこで飼い主が死亡または障害を負ってしまった際のペットの将来に関して、様々な選択肢が考えられている。遺言は見つけるのに時間がかかり、死んだ場合しか使えないのであまり有効ではない。ペットを受益者とする信託を設定するという方法が効果的である。ニューヨークをはじめ多くの州でペットを受益者にした信託を設定できる。信託人とペットの面倒を見る人を任命して、自分の身に万が一のことがあった場合に、ペットの世話を頼むのだ。信託に預けられた資金が世話人に渡されるという仕組みになる。自分で信託設定の手続きを行なうのが面倒な人のために、代行する会社も登場している。世話人がペットが亡くなってしまった後にもお金を受け取るために、似たようなペットを連れてくるという詐欺も考えられるが、これへの対処としてあらかじめDNAを採取しておくという方法も用意している。



ペットに対して信託を設定できるとは。日本でも可能なのかな。今週末は結構多くの分量を読んだ。