20051205

以下の記事を読んだ。

  • AIGを育て上げた会長のGreenberg氏は粉飾決算を理由に今年の冬に解任された。しかしまだAIGの役職員の退職金を管理している会社の会長には納まっており、復活の時を待っている。その場所は中国である。同氏のイメージは米国ではかなり悪化したものの、中国では引き続き高い評価を得ている。もともとAIGの前身は上海で創業され、その後共産党政権の成立で中国市場から退却したという過去がある。同氏はまだ中国が市場開放する前から、中国市場への復帰を目指して、政府高官とのパイプ作りに力を注いでいた。またインフラ整備のために寄付行為も行っていた。現在でも政府のアドバイザリーとしていくつかのポストも保持している。同氏は中国で金融サービスやエネルギーなどの分野で政府との合弁事業も検討している。現在のAIG経営陣は同氏抜きで中国事業を展開しなくてはならない。最初は同氏が保持していたアドバイザリーとしてのポストをAIG経営陣に移してもらうことだ。いくつかのケースでは成功している。しかし政府高官との関係は現在のAIG経営陣よりも同氏との間のほうが強いのは明らか。AIGの中国人社員も、同氏が去った後の中国事業はどのように扱われるのかという不安も出ている。これへの対処も含め現在の経営陣は頻繁に中国に出張し関係強化に努めている。
    法による支配というよりも人による支配というイメージが強い中国では個人的なコネが大きな武器になりそうだ。
  • マレーシアのカジノ企業であるGentingが子会社のGenting Internationalをシンガポール市場に上場させようとしている。最近シンガポールはカジノを認可することになり、二つのカジノプロジェクトを検討している。上場するGenting Internationalはこのカジノプロジェクトに加わるために資金を集める予定だ。投資家の人気は高く、需要が供給を大幅に上回っている状況である。しかしシンガポールのカジノプロジェクトには世界中のカジノ企業が入札に参加しており、同社が勝つという保証はない。同社はユニバーサル・スタジオと組んでテーマパークも取り込んだカジノを提案している。純資産を見ても同社の株価はかなり高い評価水準にあるとアナリストは指摘している。収益が上がるまでには時間がかかるGenting Internationalよりも本体のGentingに投資するほうが魅力的と指摘するアナリストもいる。
    シンガポールでもカジノ解禁。
  • 株価低迷のてこ入れとして、Viacomは自社を二つに分割することにした。この決定がどのような効果をもたらすのか、今日から市場で試されることにある。実際に投資家は2種類の株式をもらうのはまだ先のことだが、月曜日からそれぞれの株式が市場で取引されるからだ。市場でどのように評価されるかは、Time Warnerにも大きな影響を与える。Time Warnerにも分割するように株主から圧力がかけられているためだ。新生ViacomはMTVなどのケーブルチャンネルやパラマウントスタジオを保有する成長株として評価されると予想される一方、ラジオやテレビ局中心のCBSはバリュー株として評価されると見られている。分割決定以降の同社の株価は下落していたものの、最近は年末の上昇相場の恩恵を受けて、さらに、CBSによるテレビドラマのオンデマンド販売への以降を好感して上昇している。CBSは低成長株として見られると思われるが、同社の経営陣は低成長に甘んじるつもりはなく、ケーブルチャンネルの買収に踏み切ったりしており、新生Viacomの縄張りにも進出していく動きを見せている。

  • 米国のロースクールを卒業し、弁護士になろうとする学生は司法試験(bar exam)に合格しなくてはならない。司法試験は二日間にわたる長時間の試験であり、しかもロースクールで学習しないことまで出題される。そのため学生にはかなり不安な試験なのだ。すでに多額の授業料をロースクールに払っており、司法試験に合格しないとロースクールに進学した意味が無くなるので学生にはかなりのプレッシャーとなる。就職するに際しても司法試験に落ちると即刻解雇となる場合もあるのでますます不安は大きい。このような学生の不安につけこんで司法試験の受験準備として教育サービスを提供する会社が存在しており、この中でも圧倒的にシェアが高いのがBAR/BRIである。同社は1000ドル以上の授業料を徴収し、教室・ホテルの一室・webサイトなどを通じて学生に試験準備のためのレクチャーを行っている。しかし同社は競争相手と取引することにより競争を抑制し独占状況を生み出したとしてある弁護士が反トラスト法違反で告訴している。集団訴訟として展開させたい考えだ。そのため被害者である学生を原告として集めている。
    ロースクールを卒業しても予備校に行く必要があるということか。弁護士になる際にお世話になった会社を弁護士が訴えるという構図が奇妙な感じだ。