米国の住宅市場

以下の記事が興味深い。

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米国では利上げにより長期金利も上昇しているので、連動して住宅ローン金利も上昇しているのだが、住宅市場は冷え込むどころか価格は上昇している。なぜか。

 

住宅ローンの構造が一つの要因のようだ。米国では欧州と異なり30年固定金利でローンを組むことができる。(欧州は米国では短期金利に連動している)これは既存の債務者にとっては現在の金利上昇をから守ってくれるのでありがたいのだが、反対に中古市場が冷え込むという意図しない結果につながっている。ローンを抱えたまま売却して、新しい物件を購入すると現時点での金利が適用されるので利払いが増えてしまうためだ。中古市場が縮小するために、市場に占める新築のウェイトが増加しており、供給が追い付かずに価格が上昇している。

 

新築物件を提供する会社は、購入者の金利負担を減らすために金利の一部を物件価格から値引きするという対応をしているケースも多いのも、購入者の実質的な金利は見かけほど上昇していないということになっているようだ。ただ長期金利は上昇傾向であり、今後も上昇が続くとこのような販売方法を続けることができるのか疑問符もある。

 

住宅購入をあきらめた人たちが、賃貸市場に流入してくると家賃が上昇し、消費者物価指数の上昇要因になるという懸念もあるようだ。(住宅自体は資産なので物価指数の対象外だが、家賃は物価指数の対象となる)