カリフォルニア州の政治状況

California : The ungovernable state (The Economist)
今週に入ってから体調が悪いせいかあまり読む気がしなかった。しかしこの記事は非常に面白い。The Economistは最近、カリフォルニアの政治を取り上げることが多い。どれだけ悲惨な状況に陥っているかを描いているのだが、今回の記事はさらにつっこんで書いており分かりやすい。
カリフォルニア州の住民の多くは穏健な立場を取っているのだが、投票所に行く人は多くない。投票するのは高齢者が多く、民主党共和党の党派色が強い人たちである。選挙区自体が恣意的に区割りされているので、共和党民主党議席が固定されている。そのため本選よりも予備選で勝利することが重要になり、党員に受けがよい極端な政策を主張する立候補者が好まれるという結果になっている。予算と課税が州議会の上院下院でそれぞれ3分の2以上の同意が必要になるため、共和党が拒否権を有している状況だ。共和党にしては妥協する動機も存在しない。ここまでは同州の間接民主主義の弊害だが、同州の直接民主主義も問題が多い。多くの住民投票が行われるが、他州と異なり成立した住民投票に議会が拒否することができない。財政支出を伴う住民投票も多く、予算のかなりの部分が取られてしまう。サンセット条項もないのでいつまでも住民投票の効力を有することにもつながっている。このような状況を変えるためにはどうすれば良いのか。少しずつ改革を進めていくやり方(選挙区の区割りの改革も含まれる)と、思い切って抜本的な変革を行うやり方を主張する勢力がある。後者は州憲法を作り直すという大それた目標を持っている。カリフォルニアの州憲法は改正に改正を重ねて、さらには住民投票を反映させたりして合衆国憲法よりも大部で混乱したものとなっている。これを憲法制定会議を通じて新しいものに作り替えようとしている。この方法に対しては予想以上に支持が集まっている。