苦しい半導体業界

The semiconductor industry : Under new management (The Economist)
Briefingだけに長文。Audio Editionでも20分以上ある。しかし読み応えはある。たいていBriefingは週2本だけどもう少し増やして欲しいなと思う。半導体業界は業界始まって以来の厳しい状況にある。金融危機がなくても構造的な供給過剰に陥っていたのに、金融危機による世界経済の減速はさらに大きな打撃となった。半導体業界は設備投資から収益を挙げるまでの期間が長く、最初に多額の資金を投資する必要があるところから農業に似ている。一旦工場が稼働すると投下資本を回収しないといけないので生産調整が難しく、供給過剰になりやすい。半導体は産業のコメと言われるだけあり、様々な産業で利用されており、年を追う毎に経済全般の影響を受けやすいという構造になっている。今回の不況により半導体業界では二つの流れが出てくると予想される。分業化と統合である。AMDが工場をスピンオフしてファブレスに変換したように、年々増加する設備投資に耐えきれなくなった企業が製造部門を分離してデザインだけに特化するようになってきた。また同じく多額の設備投資を必要とすることは自ずと競争に耐えられる企業が絞り込まれることを意味する。整理統合である。ただ製造における統合が進んだとしても生き残った会社が地位を利用して超過収益を得られるとは考えにくい。半導体業界は昔から競争は厳しいのだ。また半導体業界を通じて産業構造の高度化を進めようとするアジア諸国も多く、自国の半導体業界に多額の資金援助が行われる状況も変わりなく、供給面での圧力は引き続き強いと思われる。