コンテナ物語ーー世界を変えたのは「箱」の発明だった

コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった

コンテナ物語―世界を変えたのは「箱」の発明だった

引き続き読書。
ベトナム戦争とコンテナの関係が紹介されている。コンテナ輸送を行うまではベトナムでの米軍の兵站は混乱に陥っていた。港湾設備も不十分で、積み卸しにも長い時間がかかっていたためだ。増派するに従い、兵站がさらに大きな問題になると考えた軍部は、マクリーンの助言を受け入れることになる。つまりコンテナを使えということだ。積極的にリスクを取りに行くのが性分のマクリーンは自社で港湾設備などのインフラもベトナムの港に建設することで、米軍から輸送業務を受注することになる。この賭けは大成功を収めた。ただ当初は軍隊もコンテナを生かすのに時間がかかった。単にコンテナに荷物を詰め込むだけではだめであり、輸送業務を根本から見直さないとコンテナによるコスト削減効果は最大限に発揮されないのだ。
コンテナ輸送は、海運会社にとっては大きなリスクもはらんでいた。投資規模が拡大する傾向があったためだ。大型のコンテナ船のほうが多くの荷物を効率的に運ぶことができるので輸送コストつまり運賃を引き下げることができる。不況に陥っても生き残る可能性が高まるのだ。しかしみんなこんな考えを持ってしまったので海運業界では軍拡競争のように巨大な船を建造するようになる。その結果、供給能力が過剰になり業界全体が苦しむ羽目になった。

コンテナは港の命運も大きく変えることになる。輸送コストを引き下げるために、コンテナ船は寄港する港を減らすようになったためだ。コンテナを効率的に船に乗せたり下ろしたりすることができる港に寄港が集中することになる。そのため港はコンテナ船を引きつけるために多額の投資を行って設備投資を進めることになった。かつては繁栄していた港も、コンテナ輸送の流れに乗ることができずに没落していくこともあれば、逆に目立たなかった港がコンテナ投資を進めて一気に取り扱い量を引き上げるケースもあった。