20060824

今月の読書量は先月をかなり上回っている。興味深い記事が多い。

  • ユーザーが制作するコンテンツ(CGM)では、コンテンツを充実させるために参加者にポイントを付与する場合がある。しかしポイントを獲得するのに血眼になり本来の目的からそれてしまう場合も見られるようだ。代表例がヤフー!の人力検索であるYahoo Answersだ。このサイトでは質問に答えるだけで自動的に2ポイントもらえるので簡単な質問に回答が殺到している。獲得ポイントのランキングが発表されていることがこの傾向に拍車をかけている。Wikipediaでもコンテンツを追加した場合にはポイントが与えられるために、不要と思われる些細な修正が行われるようになった。これらのポイントは実社会ではなんの意味も持たないので社会に与える影響も小さいものの、ネット上での人間行動・心理学に関心を持つ者にとっては面白いトピックスである。
    はてなだと被アンテナ数とかブックマーク登録数といったところか。
  • ワクチン接種は年寄りや子供に限られたものだと考えられてきた。しかし製薬会社は10代の青少年を新しい顧客層として取り込むことを狙っている。免疫や DNAの研究が進むにつれて新しいワクチンが多数開発されている。これらのワクチンを使って10代の青少年が感染しやすい病気を予防することを狙っている。業界の予想通りに事が運べば2010年には10代のワクチン市場は現在の倍になる。しかし10代の青少年を病気でもないのに病院に連れてくるのはかなり難しい。そのため両親や医学界に影響のある人物にターゲットを絞って、青少年向けワクチン接種の有効性を製薬会社は訴えている。新しいワクチンはインフルエンザワクチンよりも価格が高い。州法では、はしかワクチンなどを接種しないと学校に入学できないと定めている。この範囲を拡大させることも製薬会社は狙っている。ただワクチン接種が自閉症を引き起こすとの懸念(医者の多くは否定)を抱えている親も多く、規制拡大は政治的に難しいと見られる。

  • 米国の住宅市場が急速に冷え込んでいる。不動産関係者も驚くほど早く市場の状況が変化している。全国的には不動産価格は大幅に鈍化したとは言え上昇しているが、今まで高い上昇率を示していた東海岸や西海岸、フロリダでは価格が急落している。新規供給が増加したことや既存物件が売りに出されたことにより、在庫が高水準で推移している。現在はマクロ経済環境は良好なだけに、不動産価格だけが下落しているのは開発業者も驚きを隠せない。しかし不動産市況の悪化は、建設や住宅ローン業界の雇用調整を通じて経済全体に悪影響を及ぼしかねない。高値で不動産を売却して、別の物件を購入しようと計画していた人たちは計画の見直しを余儀なくされている。

  • 最近、上場企業で自社を売りに出すケースが目立っている。しかし必ずしもうまくいくわけではない。買い手が現れないことも多い。プライベート・エクイティ・ファンドには多額の資金が集まっているので買い手が出てくる筈だと考えている経営陣にとっては大きな誤算となっている。これはM&Aブームの終わりを意味するものなのか?そうとも言えない。自社を売りに出す企業はビジネスモデルに問題を抱えている場合が多いが、これも問題とは言えない。ファンドが買い手として現れないのは、公に売りに出されると入札競争が激しくなるのを嫌っているためとも考えられる。おおむね企業を非公開化する取引は極秘裏に行われる。うまくいかないことが分かっていても、会社を売却すると発表するのは、経営陣の時間稼ぎかもしれない。空売り筋はしばらくは売るのを控えるだろうし、既存株主も売るのを待つかもしれない。しかし失敗すればどのみち株価が下落するのは避けられない。