20060822

最近結構読んでいる。

  • LucentとAlcatelは合併に向けての作業が進んでいる。合併が完了するとCEOはLucent出身者であるものの、役員の過半数は Alcatelで占められることになる。このような現実が到来した場合、Lucentのベル研究所はどのように扱われるのか、ベル研究所に在籍する研究者も不安に駆られている。ベル研究所トランジスタやデジタルコンピュータを始め多くの革新的な発明を行った。しかし当時の親会社であったAT&T は電話事業を独占していたために研究結果をビジネスに応用するという点では意欲を欠いていた。そもそも研究所自体が公的な性格も帯びていたために安い価格でライセンスが外部企業に提供されていた。会社の分割などの紆余曲折を経て、研究所は現在Lucentの下にあるが、90年代と比較するとリストラの結果、予算も人員も3分の1程度に減少している。現在、研究所ではよりビジネスをにらんだ研究を行うように変革が進んでいる。この指揮を執っているのが韓国出身のJeong Kim氏だ。どの程度の収益を得ることができるかに応じて予算を与えたり、研究論文ではなく、パワーポイントでアイデアをプレゼンするようにと運営スタイルを変化させている。

  • ソニーが製造したリチウムイオン電池が発火するという問題で、デルが製品のリコールを行った。この問題がソニーにどんな影響を与えるのか、市場の今までの反応を見る限りでは限定的なものと言えそうである。ソニーの第2四半期の業績は黒字転換だったが、このトレンドに今回の事件は水を差すことになるのかと問われると、アナリストは影響は少ないと考えている。もしバッテリーが全部回収されても、電池事業の昨年の利益全部に相当するにすぎない。電池事業はソニーの売上の数パーセントを占めるだけであり小規模なものとなっている。ソニーの電池市場でのシェアは世界第2位であり、トップは三洋電機だ。デルは引き続きソニーの電池を利用するが、松下電器や三洋に切り替えつつあるとの指摘もある。今回の問題はリチウムイオン電池全体に対するイメージの悪化につながり、規制強化が行われるというリスクもある。

  • 週刊誌は80年代より時代遅れの恐竜と批判されていた。一週間に一度の発行では最新ニュースを報道するのに時間がかかってしまうためだ。しかしその後は週刊誌も犠牲は伴いつつも多くの発行部数を維持してきた。最近では週刊誌もウェブサイトを持つようになり、ウェブサイトと週刊誌本体をどのように両立すべきか頭を悩ましている。特ダネを持っていても、それを週刊誌に先に載せるべきか否か。もし週刊誌に載せると決断した場合、ライバル誌が感づいて先にウェブサイトにアップしてしまう可能性もある。そのため特ダネであってもまず、自社が先に報道したという事実を残すためにもサイトで報道し、詳しい内容は週刊誌本体で提供するという方法をとるところもある。Timeなどでは週刊誌とウェブサイトの広告をパッケージにして広告主に提供している。The Economistは過去10年間で米国での読者数を倍に増加させているが、同誌のやり方が週刊誌の進むべき道かもしれない。ニュース速報よりも独自の視点の分析記事を重視しているのだ。Timeの関係者も同誌をやり方を高く評価している。

  • SNSMySpace.comは1億人以上が参加しており、10代の若者にとっては大きな存在感を有している。しかし有名人を騙った人も多く参加しているのが問題にされている。パリス・ヒルトンと名乗る人物だけでも12人存在するのだ。このような状況をなんとかしようと立ち上がったのが二人の男だ。本人のプロフィールページなのかどうかをチェックした上で、承認を行っている。承認されたページはMySpace上のグループに登録され、専用のロゴが提供される。承認プロセスではプロフィールに関して詳しく質問がなされる。アップしている写真に対しても審査が行われ、ネットで簡単に持ってこれるような写真ではないかどうかチェックされる。有名人といっても必ずしも大スターだけではない。ギネスブックに珍記録として登録されたような人物でも承認を受けている。セレブにとっては偽物が跋扈することに対しては不満であるものの、有名税として受け入れている向きもある。

  • DellのCEOが、創業者のMicheal DellからKevin Rollinsに交代してから、同社は不振に陥っている。予想を下回る業績だったり、顧客サービスの点で悪い評価を得たり、最後には最近のラップトップのリコール問題など多くの問題が浮上している。株価も交代してから6割も下落した。株主からも同氏に対する不信感が出てきた。大手機関投資家の間でも株式売却を進めるところもある。同社には新しい経営陣が必要だと見るアナリストは、HPやSun Microsystemsを例に出す。両社ともCEOの交代を受けて業績が改善している。ただDellの創業者はCEOを前面的に支持している。最近、 Dellがコンシューマー市場での拡大を目指してAlienwareを買収したが、この案件は創業者の肝いりだったと見られており、株式市場での受けも悪くない。同社に限らず創業者が退任後、経営が混乱するPCメーカーは珍しくない。過去にはApple ComputersやGatewayなども同様だった。

  • 先進国と同様に発展途上国でも肥満が大きな問題になりつつある。食生活の変化に加えて、文化的な問題も大きい。たとえば南アフリカではやせていると AIDS患者だと誤解されてしまったり、亭主が妻にろくなものを食わせていないと見られるために、太ることに対する動機が非常に高い。また中国でも子供中心に肥満が増加しているが、過去に飢饉もあったことから太っている人は豊かであるとの認識も文化の中にとけ込んでいる。肥満が原因の病気も増加しており、 AIDSなどでただでさえ医療費増加の圧力が高まっているなか、さらに財政を悪化させる可能性も大きい。

  • 経営コンサルティングの分野では、料金はプロジェクトが成功しても失敗しても同じというのが普通だった。しかしTriumという新興コンサルティングファームでは、プロジェクトの成否により料金が大幅に変化するという料金体系を打ち出し、顧客を獲得している。可変の料金体系を取るファームでも数パーセントが変動部分であるのが多いのに対して、同社の場合は数割以上が変動するという大胆さだ。しかもプロジェクトの成否はあらかじめ定められた数値化できる目標に基づくものではなく、顧客の主観的な判断に任される。