20051228

以下の記事を読んだ。今日は6時起床。

  • キリストが誕生した町として有名なベツレヘムの市長は今年選出されたが、クリスチャンであるこの市長は驚くべき相手と手を組んでいる。イスラムのテロ組織であるハマスだ。ハマスは米国などからはテロリストと認定されており、このような団体と手を組んだことが米国との関係に支障をきたしている。民衆がハマスを支持しているのはテロ行為というよりも、アラファトが率いていたファタハ主導の政治が腐敗に満ちていたことに対する反感であった。またハマスが提供している教育や医療サービスも民衆の支持を集めることになった。アラファト亡き後のファタハでは後継者であるアッバス氏がハマスを受け入れつつあり、できる限り体制内に取り込むことでテロリストとしての性格を弱めようとしている。ベツレヘムでは新市長は公約通り腐敗を取り締まり、民衆の支持を集めている。現在のところは宗教に関してはハマス側とは議論しないことにしているというが、将来の衝突の可能性も残っている。

  • 携帯電話の周波数帯域をFCCによりオークションされていたが、このオークションには例外規定が設けられていた。人種や性別でマイノリティと判断されたグループが経営する企業には優遇策が講じられたのだ。落札金額の半分程度しか払う義務がなく、しかも国から金利ゼロで融資を受けることもできた。しかしこのような優遇策が裁判所の判決により廃止された後も、小規模企業に対する優遇策は存続し続けた。この優遇策を利用して多くの収益を得たのがメディア株への投資で有名なMario Gabelli氏である。同氏は子会社を利用して、独立した関係にある人物に会社を作らせ、過半数未満の株式を取得し、資金提供も行っていた。小規模企業であるように見せかけて大手企業が安い価格で周波数を入手することがないようにFCCは規制を設けているが、同氏はこの規制をかいくぐって周波数を出資した企業に落札させることに成功している。このような行為が政府に対する詐欺行為だとして訴えたのが、この取引に関わっていた法律専門家である。米国には政府の代わりに政府に対する不正行為を行う者に対して訴えを起こすことができる法律がある。勝利すると被告が支払う罰金・損害賠償の4分の1を受け取ることができる。この制度を利用して裁判に打って出たのだ。

  • Lucent Technologiesは通信バブル崩壊で大きな打撃を受けた。しかし最近になって再び利益を計上できるようになりつつある。しかし通信機器を販売して利益を上げるよりも、年金基金が大きな収益源になっている。利益の半分以上が年金基金によるものだ。年金基金の収益が費用を上回った場合にはその分を企業利益となるがそれが大きく貢献している。同社は多くの年金加入者を抱えており、そのうち大多数が退職者である。年金基金に加入している現役従業員は少ない。そのため今後は年金債務の増加スピードが和らぐため引き続き年金基金が収益を支えるものと見られている。しかし同社は退職者の問題とは無縁という訳ではない。健康保険基金で積み立て不足になっているのだ。しかし年金基金からの資金拠出により積み立て不足が収益に与える度合いは緩和されている。同社の利益が年金基金に支えられているという事実は投資家の懸念も誘っており、エリクソンモトローラなどと比較して低いPERとなっている。

  • 来年の中国企業によるIPOは今年を大きく上回るとアナリストは予想している。香港やナスダックなどに上場する中国企業が増加することを予想している。中国企業によるIPOは様々な影響を市場に与えるものと見られている。最近中国の金融関連の企業が相次いで上場した際には、香港のHSBCが売られた。投資家はIPO銘柄を購入しつつも金融セクターへのウェイトを引き上げるのに躊躇したためと見られている。また中国企業IPOが増加すると、MSCIのアジア株指数のウェイトにも影響が出てくる可能性がある。もし中国の比率が引き上げられれば、大きすぎると見られている台湾の比率が引き下げられる可能性がある。中国企業IPOは上場してから四半期程度はアウトパフォームするものの、その後は上昇幅を吐き出し市場をアンダーパフォームする傾向があるという調査もある。

  • 2008年に中国では北京五輪が開催されるために、北京では近代的な町作りが行われている。しかしより重要なのが国民のマナーを向上させることのようだ。従来中国に存在していたマナーは共産党支配下の下でなくなり、最近では市場経済の波を受けて我先にという人々の意識が高まっている。そのため町のあらゆるところで混雑が発生しているのだ。北京では地下鉄を整備しているものの、重要な交通機関としてバスが大きな地位を保っている。当局がバス停で整然と行列することをターゲットに定め、監視員を送り込んで行列するように国民を教育している。目標は自発的に行列させることだ。

  • 日本市場に対するプライベート・エクイティファンドの関心が高まっている。多くの資金が日本向けに用意されており200億ドル以上と推定されている。日本は従来は株式持ち合いにより外部株主の声が遮断されており、リストラへの圧力が弱かった。しかし最近では持ち合いの低下や外国人株主の増加により、経営陣も子会社の売却などのリストラに本腰を入れ始めている。先例となったのがゴーン率いる日産自動車である。同社は子会社を積極的に売却し、これを購入したファンドも潤った。現在ファンドが期待しているのがソニーである。同社も外国人経営者がトップについているという点では日産に似ているが、大きな相違点があるという。日産ではルノーから派遣されてきたゴーン氏は一種の進駐軍であったが、ソニーの場合は外国人とはいえソニー内部の人間であることから改革への意欲が弱いのではないかとの指摘もある。中国でもファンドによる買収が盛んだが、規制が多く、景気動向が不透明な中国よりも景気拡大局面にある日本のほうがファンドには好都合と見られている。

  • 英国のBritish Medical Association(BMA)が発行する学術誌に1992年、ショッキングな論文が掲載された。インド人の医師によるもので、繊維質や果物、野菜を多く摂取する患者は心臓麻痺になる可能性が半分に低下するというものだ。しかしその後この研究に対して複数の研究者より疑問の声が出てきて、同誌の編集者は調査に乗り出すことになった。インド人の研究者より生データを回収して統計学者に調査させたところ問題が見つかり、今年の同誌に研究内容に疑問を示す記事が掲載されている。同誌を始めとする学術誌は権威はあるものの、内容の整合性に関してはほとんど調査する力を持っていないことが明らかになりつつある。同誌でも論文が最初に掲載されてから12年以上も調査を行っていたことになる。最近では韓国の研究者がクローン研究でねつ造した論文を著名な学術誌に発表している。