20050204

CLIE TH55で以下の記事を読んだ。
・フランスの醸造酒メーカーであるPernod Ricard が、英国の同業他社であるAllied Domecqを買収するのではないかとの憶測が流れている。醸造酒業界では、最大手のDiageoのシェアが高く、規模を生かして流通やマーケティングで有利に立っている。同社に対抗すべく、2番手グループであるこの2社は統合する必要性を感じているのだ。




・欧州の経営者は、最近実施されている企業統治に関する規制やガイドライン制定にも関わらず、企業統治は改善しないと考えているようだ。法律事務所が最近行なったアンケートで明らかになった。特に長年企業統治が問題となっていた英国では最も悲観的な見方が多い。欧州では米国でのサーベイン・オクスレー法とは異なり、自主的なガイドラインにより企業統治を改善させようとしている。各国の取り組みはばらばらであり、欧州連合レベルでの取り組みはなされていないのが現状である。



・QwestとMCIが合併交渉を行なっている。ただし事態は流動的であり、VerizonがMCIを買収する可能性も残っている。またプライベートエクイティファンドがMCIを買収する可能性もある。MCIが買収されると、米国の長距離通信会社はすべて消えることになる。



・エジプトでは昨年、予想を裏切って首相に52歳のナジフ氏が就任した。同氏はカナダで教育を受けたエンジニアでもあり、就任してから経済改革を進めている。エジプトでは政府部門の比重が大きいのだが、公務員の削減などを通じて政府部門の縮小に乗り出している。また関税・所得税の引き下げや、米国・イスラエルなどと貿易協定を結ぶという政策を実行している。



・昨年夏に、Citigroupの欧州部門が欧州債に対して大量の売り注文を行い、下落したところで買い戻して利益を上げたという事件があった。この事件に関しては各国の当局が価格操作ではないかとみて捜査している。多くの不祥事に見舞われた同社に対しては新たな汚点となった。この事件の背景がドイツの当局が作成した報告書からうかがい知れる。取引を手がけたトレーダーは上司より、収益を上げていないと責められていたという。そのため事件となった取引戦略を考え出したのだ。この戦略は映画「オースティン・パワーズ」に出てくる悪役のMr.Evilにちなんで、Mr.Evilと命名されていた。



AT&TがSBCに買収されることになった。同社の株式は昔から多くの投資家に保有されており、株主には大きな問題が突きつけられている。同社は昔から多くの分割・スピンオフを実施しており、株式の取得原価を算出するのが極めて難しいのだ。配当を再投資している投資家には一層難しくなる。売却した場合には取得原価によりキャピタルゲインが発生したかどうかが判断されるために、取得原価を算出することは極めて重要である。



・独立を目指してフランチャイズに進む人も多いが、最近のフランチャイズでは本部の権限が強化されつつあり、自らが裁量を振るう分野が少なくなってきている。例えばセブンイレブンである。同社ではフランチャイズに対して本部が定めた商品ラインナップを満たすことや、本部が指定した業者から仕入れることなどを契約に含めてきている。不満を覚えたオーナー達は同社を相手取って裁判を起こしている。競争が厳しい中、ブランド力を強化する必要があり、店舗ごとの品質のばらつきを減らす必要がある。そのため本部は店舗への支配を強化しているのだ。



・携帯電話はもはや若年層だけのものではなくなりつつある。高齢者の多くも携帯電話を利用するようになってきた。普及率は5割を超えつつある。今までは緊急時のみに利用する高齢者が多かったが、最近では日常でも気軽に使うようになってきた。そのため老人ホームでも携帯電話のマナーが問題になってきているようだ。携帯電話会社はこのような高齢者層の増加にも関わらず、積極的に高齢者に対するマーケティングは行なっていない。



・ドイツ生まれのエンジニアであるAndy BechtolsheimはSunの創業に関わっている。その後はGoogleに創業資金を提供したことでも知られている。同氏の半導体開発能力は高い評価を受けている。現在同氏は、再び古巣のSun Microsystemsに戻って、高性能なサーバーを開発している。IntelやSunのSparcチップではなく、AMDのチップを利用しているのだ。



・Commerce Bancorpは普通の銀行とは大きく異なっている。日曜日も営業しているし、夜中まで店を開けている。場合によっては朝6時から営業するときもある。多くの銀行が電子化に進む中、同社は高いコストを負担しても豪華な支店を開設していった。同社では支店はストアと呼ばれている。自社を小売業だと考えているのだ。同社はこのような戦略で成功を収めており、株式市場での評価も高い。ただし預金者にはあまりよい金利を出していない。ただし多くの顧客を獲得しているのだ。同社は金利よりも利便性を提供することで成功したのだ。



・中国に参入しようとする外国企業が増加するにつれて、中国企業の価格も急上昇している。かなり割高な価格で外国企業は中国企業を買収しているのだ。成長力の高い中国市場にいちはやく進出したいという外国企業のあせりを表している。競争が厳しい業界ではゼロから新規事業を立ち上げるのは不可能な状況になっているために、割高でも買収して参入するしかないとの認識がある。しかし中国企業と外国企業とでは企業の評価軸が異なるために、価格面で難航する場合が多いようだ。