20060518

  • NASCARは昔のストックカーレースのイメージ、つまり無法者たちのスポーツというイメージを変えつつあり、米国でも急成長中のスポーツフランチャイズと変貌を遂げた。しかしレースにやってくる観客は騒ぎ立てることが好きな連中であり、彼らを取り締まる現地保安官も対応に苦労している。アラバマ州のTalladega International Speedwayでは年2回レースがあるが、開催される前から多くの観客がキャンプをして過ごし、当然のことながら飲酒もするので、けんかなどの争いが絶えない。そのため保安官は応援を頼み、多くのスタッフを動員して治安維持に務めている。レース場の中には留置場まで設置されている。ピーク時には何十人も逮捕され、手間を省くために判事までレース場に待機している。

  • ヘッジファンドや、プライベート・エクイティファンドなどで大儲けしたビジネスマンが慈善事業に関心を寄せるようになった。今までなら現役を引退してから慈善活動に注力していたものの、今は現役ばりばりの状態でも積極的に関わるようになっている。彼らの存在が慈善団体の活動にも影響を及ぼすようになってきた。募金集めではあたかもプライベート・プレースメントのように、タームシートを作成して、長期的な目標などを掲げてロードショーを通じて潜在的な資金提供者に接触する。活動の透明性を確保するために、定期的に企業が決算説明で行うような電話会議を行う場合もある。タームシートで長期的な目標を明確にしておくことは、募金者の希望を一本化するというメリットがある。ドットコムバブルの時には、ベンチャー慈善団体というトレンドもあった。積極的に経営者が慈善団体の育成に手を貸すというものだ。しかし現在では活動実績があり、管理がしっかりしているところに資金が集まっている。数値目標を出すが故に、人権保護などの数値化が難しい活動には不利になる可能性もある。

  • 無敵と見られていたDellに異変が起こっている。最近の業績発表は予想を下回るものであった。このニュース自体は小さいものの、Dellの不振にとどめを刺す材料と見られている。後知恵で考えると、同社の不振はすでに4年前に明らかになりつつあった。というのも、同社はPCでの大成功を背景に、関連周辺機器(プリンターなど)や家電(液晶テレビなど)に進出したためである。PCと同じビジネスモデルを投入して成功を収めると思いきや、予想したほどはうまくいっていない。明らかに限界があったように見える。反対にヒューレットパッカードは業務の効率性を進め、デルとの格差を縮小しつつある。デルの問題には同社の強力なパートナーの不振もある。インテルAMDとの技術力の差を縮められているし、マイクロソフトGoogleからの追い上げを受けている。

  • アップルは小売店を積極的に開店させているが、いよいよ米国最大のロケーションである、ニューヨーク5番街の一等地に進出する。この店舗はプラザホテルの真ん前で斬新なデザインが特徴だ。24時間営業を行うと見られている。小売ビジネスは当初うまくいくわけないと考えられていたが、大成功を収めている。ゲートウェイが小売ビジネスに進出してその後撤退したのとは正反対である。成功を収めすぎて、他の小売業者からの訴訟も起こっているほどだ。iPodなどの新製品がアップルストアに優先的に出荷されているのはないかとの不満が背景にある。デザインにこだわるスティーブ・ジョブズ氏は店舗デザインにも積極的に関与している。ショーケースの共同開発者として特許も取得しているほどだ。五番街の店舗のデザインでも設計の変更を命じているという。
    「ハイ・コンセプト」を読んでいると難読症という単語に出くわした。本には載っていなかったが、スティーブ・ジョブズ氏もたしかそうだったと思う。難読症により左脳の働きは鈍るものの、その分右脳が強化されるらしい。WSJでのスティーブ・ジョブズ氏の似顔絵はhttp://online.wsj.com/public/resources/images/HC-GG913_Jobs_20060311120024.gifにあるが、これを見るといつもコーギーを連想してしまう。犬顔だ。