動物と人間の世界認識

動物と人間の世界認識

動物と人間の世界認識

少し前に買った本。読み始めた。薄い本で読みやすいが、中身は濃い。猫って頭が良さそうな気がしていたのだが、猫の世界認識はかなり変わっていて面白い。立体と平面の区別もついていないように思える。紙にマジックペンで書かれた猫の絵を見ても、猫だと考えてしまうらしい。匂いで違うことが明らかになるまではだまされてしまうのだ。視覚は動物はそれほど発達しておらず、嗅覚に大きく依存しているようだ。この点は「飛び道具の人類史」(ASIN:4314010045)にも書いてあった。


人間も動物の不完全な世界認識を馬鹿にはできない。人間が認識できないもの(たとえば紫外線)を認識できる動物もある。人間は科学の発展により現実には知覚できないものでも理解することは可能になったが、動物にはそのような機会はないので永遠に不完全な世界認識のままで生きることになる。しかし今まではそれで問題はなかったのだ。

人間にも知覚できない脅威が存在する。病原菌が代表例だ。現在では医学の進歩により病原菌の存在は理解できるようになったものの、昔の人にとっては原因も分からずにバタバタと死んでいく状況は全く理解不可能で恐怖に満ちたものだったのだろう。動物にとっても同じことが言えるのかもしれない。自分が知覚できない存在(たとえば人間)にいきなり殺されたり捕まえられるような状況はまったく理解できないものなのだろう。まるで2次元の世界に住んでいる人が3次元の世界の人にいきなり殴られるようなものかもしれない。