マドリッドにおける列車テロの余波

先日発生したマドリッドにおける列車テロがスペインに古くからある対立を呼び起こすことになっている。スペインは長い間フランコ将軍の独裁にあり、内戦と独裁政権の元で国民の対立(右派と左派)が発生していた。その後の民主化と経済成長により国民の不満も解消したかに見えているが、今回のテロが古い傷を刺激しているようだ。国民の多くはイラクへの派兵を反対していたが、政府が派兵を強行しているという事情がある。派兵決定直後はデモも行われていたが、その後の景気拡大により反対ムードも収まっていた。しかし選挙前を狙ったテロとテロの容疑をバスク独立主義者に押し付けようとした政府の対応が国民の怒りに火をつけてしまった。政府の派兵は米国には都合のいいものであったが、スペイン国民の間では反米感情も根強い。独裁政権フランコ将軍を支援してきた米国がイラクで民主主義を確立するといってもスペイン国民には説得力に欠けるのだ。