国際放送の危機

International broadcasters : Waves in the web (The Economist)
私が子供の頃、というか中学生の頃に、父に短波ラジオを買ってもらった。それを使って海外の放送を聞いていたものだった。共産圏の国営放送局では受信レポートを送ると大量のプレゼントというか書類を送ってくれた。ラジオ・ペイチンでは毎年カレンダーまで送ってくれたが、今でもそのようなプレゼントはやっているのだろうか。この記事を読んでそんなことを思い出した。
冷戦の頃には、短波放送は西側・共産圏両方において、プロパガンダの有力な手段であった。ソ連では自国民に西側の放送を聞かせないように妨害電波まで出していた。短波放送の周波数を確保して大出力で世界中に電波を送るのは金がかかる事業であり、大国しか乗り出すことができなかった商売でもあった。しかし今時、短波放送を聞く人も少ない。海外向け国営放送もネットを活用するような時代だ。ネットを活用すると、当然運営コストも大幅に引き下がる。その結果、海外向け国営放送も競争が厳しくなってきた。BBCVOAの受信者も減少傾向にある。今までは国際放送に参入できなかった新興国も参入してきた。代表例がアルジャジーラである。西側の主張をどうやって届けるべきかが問われている。予算も限られる中、ターゲットとするオーディエンスを絞り込み、番組制作も外部の力を導入すべきと主張している。