リスクヘッジを行うのが難しくなった事業会社

Corporate hedging gets harder : The perils of prudence (The Economist)
多くの企業でリスクヘッジとしてデリバティブを利用している。たとえば輸出が多い製造業では、販売代金を外貨で受け取るケースが多いので為替ヘッジを行ったり、燃料として石油を利用する航空会社は石油価格高騰に備えて石油価格のヘッジを行っている。しかし金融危機がこのようなヘッジを行うのを難しくしているようだ。ヘッジのカウンターパーティーである銀行がリスクに過敏になっているためである。相対取引でヘッジ契約を結ぶために、顧客側でヘッジ契約による損失がふくれあがっても(つまり銀行側から見れば金を貸しているのに等しい)、担保をとることもできない。そのため銀行としては信用リスクが低い企業としかヘッジ契約を行おうとしないのだ。また最近では担保の提供を求めるケースも増えている。これは店頭デリバティブ契約を取引所ベースに移行させるのと同じく、システム全体のリスクを低下させる効果を持つが、ヘッジ契約を行う事業会社にとっては大きな問題だ。担保の提供を行うことで資金繰りが悪化してしまうためである。