20060429

  • 新しいテクノロジーを用いて、子供の居場所を親が把握できるようにするサービスが登場している。携帯電話を用いたものや、携帯電話を利用することができない小さな子供の場合は、無線タグ(RFID)を服の中に縫い込んで場所を特定するようなサービスが登場している。ただどの程度まで子供を監視することができるのか、線引きは難しい。プライバシーの侵害という声も出てくるのだ。
    アンビエント・ファインダビリティ―ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅」(ASIN:4873112834)にも関係してくる。
  • トヨタや日産、ホンダなどの日本車メーカーは米国での事業を展開している。ビッグ3からシェアを奪い、米国内に工場を建て雇用を増やしている。今までは管理職は日本から派遣されることが多く、現地米国人社員の影響力は小さかった。しかし最近では米国人社員の影響力は増し、より上級管理職に登用されるようになり米国内だけではなく日本の本社にも影響を与えるようになってきた。新車の開発は米国で行われたものが日本市場に投入されることもある。生産現場でも米国人管理職を登用するケースが多い。トヨタにおいては今までは明文化された価値観というものが少なく、工場で徒弟関係のように世代間で伝えられていた。米国での展開を考えると、この方法ではコミュニケーションに問題が生じるためにトヨタは自社の価値観を文書化し、米国人管理職を日本に呼び寄せて研修を行わせている。トヨタでは売上の多くが米国市場からだが、まだ米国人の取締役はいない。この状況ももうすぐ変わりそうだ。

  • ウォール街投資銀行の中でも、ゴールドマン・サックスの収益性は群を抜いている。自己資本に対する収益率は4割以上で、社員(アシスタントや秘書を含む)の平均年収は52万ドル以上なのだ。同社は伝統的な投資銀行業務から、自己および顧客のための資金運用に収益の比重を移しつつある。パートナーシップから公開会社に移行したものの、同社は分析しにくい企業である。投資銀行から、デリバティブプライベート・エクイティなどの透明性にかける分野に移行しつつあるためだ。同社のリスク管理システムは社内で開発されたものであり、ライバルを上回っている。そのため多くのリスクを取ることができるのだ。しかしリスクを抱えすぎることにより、LTCM破綻のような事件につながらないとも限らない。同社は比較的安全かもしれないが、2番手以降の企業だとさらに破綻のリスクは高まる。投資銀行業務と資金運用の利益相反という問題もすでに現れ始めている。しかしこの問題は市場で解決できるものだろう。大きな問題としてリスクを抱えすぎた投資銀行が破綻し、市場を混乱させる可能性だ。しかし今までのところ、破綻した場合でも破綻そのものよりも、破綻によって規制当局が過剰な規制を導入してしまうほうが市場には大きな問題となってきた。デリバティブによりリスクの移転を容易にしていることは、経済における摩擦を減らすことになるが、規制強化はこの動きに逆行しているためだ。
    最新号のThe Economistゴールドマン・サックス特集。しかし社員の平均年収が50万ドル以上というのがすごい。一部の高給取りが引き上げているのかもしれないが。The EconomistWSJと比較してかなり主張が混じっている。