スイス当局によるスイスフラン売り介入

Buttonwood : Swissie fit (The Economist)
バブルを経験しなかった(UBSを除く)にも関わらず、スイスも欧米のバブル崩壊の影響を大きく受けている。今年の経済成長率はマイナスとなることが予想されている。さらに悪いことにスイスフランは最強通貨と認識されているが故に買いが集まりスイスフランは上昇、さらにデフレ圧力が強まることになった。そんな中、先進国の中では初めてスイスは自国通貨の売り介入を実施した。これは通貨切り下げ競争の先駆けとなるのか、との懸念もある。しかしアナリストの中には、売り介入はスイスにとって量的緩和政策に相当すると分析する者もいる。スイスは国家財政が健全であることから国債の発行残高が少ない。しかも社債の発行残高も多くないので、スイス当局にとっては外国の国債を購入して(つまりスイスフランを売却)、スイスフランの供給量を増やすことしか、量的緩和を実施する方法がないという。スイスは小国であるため通貨の売り介入が世界貿易に与える影響は少ないかもしれないが、スイスの経常黒字はGDPの7%以上であることを考えると、経常黒字国家の通貨が切り下げられることで世界経済の不均衡が是正されるとは考えにくい。