群衆は必ずしも暴力を引き起こすわけではない

Public order : The kindness of crowds (The Economist)
群衆は治安当局にとっては危険な存在である。暴力行為に突き進むと見られているためだ。群集心理というか他人もやっているから自分もやってよいという態度が暴力行為を広げることになると考えられている。しかしこの記事ではかならずしもこのような見方は正しくないと指摘している。記事で紹介されている研究の手法がユニークだ。群衆がいかに暴力行為を引き起こすかなんて実験は実際には倫理的に実施するのは難しい。当事者の証言も当てにならない。そのため英国で多数設置されている監視カメラで撮影された映像をもとに分析したという。もちろんプライバシーを守るためにデータは匿名になっている(記事からは読み取れないが顔にモザイクが入れられているのか?)らしい。分析結果によると、喧嘩になりそうな場面でも、群衆が喧嘩を抑制するように働く場合が結構多いことが分かった。群衆が多いほど抑制する動きが大きくなるようだ。ただ群衆が争いの当事者のいずれかに肩入れするような動きを見せると結局暴力行為に発展してしまうとも言えるようだ。