世界的な景気後退が移民動向に与える影響

Global migration and the downturn : The people crunch (The Economist)
The Economistらしい記事。現在進行中の世界的規模の景気後退は、移民が経済において大きな役割を果たすようになって以来、初めての経験となる。先進国での景気後退は、そこへ向かう移民も減少させるが、母国経済がさらに悪い状況であれば、かならずしもそうとはいえない。移民を受け入れている国で、景気が悪化するとそこで働く移民たちも大きな影響を受ける。移民が母国に送金する仕送りが、母国経済にとっては大きな比率を占めるようになっており、仕送りの減少が経済にも悪影響をもたらす。母国に与える影響は経済だけにとどまらない。人口は多いが職が少ない新興国では、労働力を海外に送り出すことで社会不安を抑えてきたという面もあり、送り出せないようになると母国における職の不安が顕在化し、社会不安も高まることが懸念されている。移民を受け入れてきた先進国でも、自分たちの職が危機にさらされている中、移民に対する敵対心も強くなり始めている。