20060528

昨日の積み残しも含む。

  • MasterCardがIPOを行った。水曜日にはネット電話会社のVonageが公募価格を大幅に下回るデビューだったために心配されたものの、 MasterCardの上場後の株価は公募価格を上回る水準で推移している。しかし同社の見通しは少なくとも短期的には厳しい。目論見書でも今年は赤字になる可能性も示唆されている。同社とVisa USAはカード発行会社の獲得を巡り厳しい競争を演じている。そのためカード会社の取り込みのために多くのリベートやインセンティブを提供しているのが実態である。この負担が大きいことに加えて、同社はワールドカップのスポンサーであり、かなりの広告宣伝費を投入することも収益を悪化させると考えられている。また発行会社や小売店から起こされている独占禁止法に関する訴訟問題も残っている。ただ支払い手段が現金からプラスティックに移行するにつれて、同社はこのトレンドの恩恵を受ける代表的な企業との見方が強い。

  • 中国株式市場は長い低迷期を超えて、上昇局面にある。昨年安値からの上昇率は5割以上となっている。最近はエマージング市場全体で株式が売られているが、中国では下落局面もかなり緩和されたものとなっている。しかし中国株式に投資する現地投資家、特に個人投資家には大きな問題がある。情報源が少ないのだ。共産党支配の下、自由に意見を述べることが抑圧されているがこの傾向は株式投資に関するアドバイスでも同様だ。あまり市場に関する予測を自由に述べることを当局は快く思っていない。しかし今後はIPOが増加することが予想される上、デイトレ信用取引も認められるようになるため市場のボラティリティは一層高まるものと予想され、株式投資に対するアドバイスは一層求められるのだ。外国人投資家はごく限定された形でしか市場に参入できないので、ウォール街のアナリストもあまり期待できない。情報不足の個人投資家が頼っているのが、証券会社のロビーで活躍するアマチュア予想屋だ。本人も個人投資家で自ら売買するが、周りの人にもアドバイスを提供している。
    日本でも昔はこのようなアマチュア投資家が証券会社のロビーでたむろしていたとの話を聞いたことがある。ネットが普及した現在ではあまり証券会社に行く必要もないだろう。
  • ドイツでまもなく開催されるワールドカップをめぐるチケット騒動。今大会のチケットは偽造や安全対策の観点から、事前に申請した入場者の名前がチケットに印刷されている。入場口ではチケットに印刷されている氏名と身分証明書で本人確認を行い、本人以外の場合は入場を認めないという方針だ。すでに悪質なフーリガンブラックリストに載っているという。試合を見たいもののチケットを持っていない人もとりあえず、ドイツに行って現地でチケットを入手する覚悟を決めている人もいる。前回の大会では現地で容易に、しかも無料で手に入れることもできたという。ダフ屋を通じて購入することもできると踏んでいるようだ。本人確認が問題になるが、大量の入場者をすべて確認するのは難しいので、大会本部も一部をランダムにチェックするだけとしている。そのため自分がチェックされる可能性は低いと楽観的に考えているようだ。また開幕してすぐに問題が発生して、本人確認のシステムは崩壊すると予想している人もいる。eBayではチケットは 1000ドル程度で売りに出されている。

  • ハイテク業界で最も需要が高い職種が、ネット広告の営業マンだ。できる営業マンなら年収50万ドル以上を稼ぐことができるほど人材の争奪合戦は過熱している。ネット広告市場が拡大していることに加えて、テレビや新聞といった伝統的なメディア企業が、コンテンツをネットに公開するようになってきたために、広告の営業マンの需要が高まっているのだ。Googleでは広告販売システムを構築し省力化を図っているものの、広告営業ではフェイス・ツー・フェイスでのプッシュが必要であり、人手が求められている。過熱しているのは人材が少ないという現状がある。ドットコムバブル崩壊後、広告の営業マンの多くがキャリアを変えてしまったことに加えて、残った人たちももストックオプションや魅力的な報酬のため転職する動機に欠けるのだ。大規模な広告販売部門を抱えるYahoo!は草刈り場となっている。引き抜きへの不安感から社内での人材養成を強化している。Microsoftは他社より引き抜いて広告営業体制の強化を進めている。過熱ぶりにドットコムバブルを連想する人もいる。
    日本ではどうだろう。少なくてもはてなでは広告営業のスタッフを求めているようだ。