freakonomics : A Star Is Made(not born)

  • ワールドカップに出場するサッカー選手の出生月を調べてみると奇妙な現象に気づく。年前半に生まれている選手が圧倒的に多いのだ。フロリダ州立大学の心理学者であるAnders Ericsson氏はスキルを身につける過程を分析している学者だ。同氏はスポーツから医学、音楽、チェスなど様々な分野でどのように人がスキルを身につけるかを研究した。この結果明らかになったことは、ある分野で秀でるようなスキルを身につけることと持って生まれた才能とは関係ないということだった。練習と適切なフィードバックがあれば秀でたスキルを身につけることができるという。そのため自分の好きなものに熱中することが大事となる。嫌いなものに挑戦しても途中でいやになってあきらめてしまうためだ。そして自分には才能がないのだと結論づけてしまうことになる。適切なフィードバックを受けることがスキルを高める上で重要であるという点は、医学教育でも顕著である。普通医者は医大を卒業すると年を取る毎にスキルは低下するのだが、外科医だけは例外だという。というのも外科医はすぐに自分の手術結果がわかる(フィードバックが存在する)ためだ。自分の行為とフィードバックまでに間隔が空きすぎるとスキル向上にマイナスに作用するという。そこでサッカー選手におけるアノマリーに戻ると、欧州の少年サッカーチームでは年齢別にチーム編成がなされており、普通12月末で区切られることが多い。そのため同じ年の1月生まれと12月生まれが同じチームに所属することになる。当然1月生まれのほうが早く成長しているので、その分スキルも高くなり、コーチにも注目され、より多くのアドバイスやフィードバックを得られ、一層成長することになるというのが同氏の分析だ。
    「ヤバい経済学」(ASIN:4492313656)に収録されてもおかしくなかったかも。日本でも早生まれの子供(1月から3月生まれ)は小学校の高学年まで成績が劣るという調査を見たことがある。高校野球で甲子園に出場する高校生の生まれ月を見てみたいところだ。 The Cambridge Handbook of Expertise And Expert Performance (ASIN:0521600812)という本で論文が紹介されるという。http://www.freakonomics.com/times0507.htmlに著者による付録がある。

http://www.volleyball.gr.jp/hayaumare.htmが日本の状況を指摘しており参考になる。日本でも同様の傾向があるみたいだ。