ゴールドマン・サックス出身の二人の財務長官の違い

Business.view : Banking on a banker (The Economist)
ニューヨーク連銀トップのガイトナー氏が財務長官に指名されることになった。同氏は中央銀行の役人出身であるが、中央銀行出身者が財務長官になるケースは少ない。現在のポールソン氏と同じくウォール街出身者が多い。しかしポールソン氏の最近の失敗(リーマンを救済しなかったことや、TARPで不良資産の買い取りを行わないとの決定がシティグループを破綻寸前にまで追いこんだことなど)を見ると市場を熟知している筈のウォール街出身者だからといって成功が保証されている訳でもなさそうだ。市場に安心感を与えることに成功した同じゴールドマン・サックス出身のルービン氏とは大きく異なる。ゴールドマン・サックス出身といっても裁定取引トレーダー出身のルービン氏とディールメーカー出身のポールソン氏では身につけてきたスキルが大きく異なることも二人の成果の違いにつながっていそうだ。トレーダーは大局観を持って相場の展開を予測しタイミング良く売買する必要があるのに対して、ディールメーカーはとりあえず結果を考えずにディールさえまとめればよいというメンタリティーに陥りやすい。一貫した戦略を持たずに場当たり的に対処してきたポールソン氏はまさにディールメーカー的な行動を示していたといえる。