戦争請負会社

戦争請負会社

戦争請負会社

読了。
戦争請負会社(PMF)を起用することが軍人と政府の関係にどのような影響を与えるのか、この点に関する議論が続く。安定化をもたらすことを期待してPMFを雇っても逆に軍人の反発を招いてしまい、安定化の努力が損なわれることになる場合がある。PMFから派遣されてくる社員が軍人よりも高い給与をもらっていたり、現地の伝統を無視するような態度を取ったり、軍部の予算削減や人員削減が行われるような場合に不安定化への危険性が増す。最悪の場合は軍部の不満分子がクーデターを主導する可能性もある。
ただ、逆にPMFが政府と軍部の安定を強化させることもある。軍部の専門能力を向上させることで士気を高めることができた場合などである。またPMFという再就職先があることが軍人の将来の不透明感を払拭することもある。
PMF外交政策を代行させると、説明責任や結果責任を追及することができない状況になってしまう。PMFを用いて極秘裏に外交政策を展開する場合は、そもそも動機や目的自体に問題がある場合も多い。国民に説明することができないために極秘裏に行うと考えられるためだ。正当な理由があれば国民に説明し、支持を取り付けて実行すれば良いだけだと説く。

翻訳が多少読みにくい感じだが、戦争請負会社というあまり知られていない業界の実態が分かりかなり面白い。現在のように暴力が国家の独占となっているのは歴史を通じても例外的な出来事だというのが驚きだった。この独占状態が民営化されるのはよいのか悪いのか。効率性だけでは判断できない問題だ。