英国の電力危機

The looming electricity crunch : Dark days ahead (The Economist)
電力危機と言っても今直面しているという訳でもなく、10年単位で予想した場合のことを指す。南アフリカでは電力不足で計画停電が行われているが、犯罪を引き起こすという問題があった。高級住宅地ではセキュリティも厳重に行われているが、ほとんどが電気に依存しているために停電になると無防備になってしまう。最初、計画停電は事前に公開されていたために、泥棒にとっては獲物を教えてくれるのも同然だった。しかしこの問題に気づき、事前通知なしで停電を行うようになったという。
英国の電力は、北海油田の存在もあり、ガスに大きく依存している。しかし北海油田もピークをすぎ、生産量は減少の一方だ。石炭も有力なエネルギー源だが、地球温暖化対策を進める政府にとっては石炭利用を推し進めるわけにはいかない。原子力発電所はここしばらく新規建設がストップしており、今後は老朽化した原子力発電所が閉鎖されていく見込みだ。新規に建設を行おうにもかなり時間がかかるので電力危機には間に合わない可能性がある。期待できるエネルギー源としては代替エネルギー(風力や水力発電)があるが、発電量はお天気次第という問題もあり、安定的な電力供給源にはなりにくい。そのため八方ふさがりになっているのが現状だ。手っ取り早く電力を手に入れるには、ガス発電所を作るのが一番だが、ガス供給を外交の武器として利用するロシアへの依存度をさらに高めることになってしまう。電力の安定供給を鑑みると、英国はCo2削減という公約を破っても、石炭の利用を拡大せざるを得ないだろうと見る。