- 作者: アルバート・ラズロ・バラバシ,青木薫
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2002/12/26
- メディア: 単行本
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翻訳者の話になってしまったが、この本もかなり面白い。今まで読んでいなかったのがもったいないと思えるほどだ。
ネットワークを数学的に説明している本だが、難しい数式などは出てこない。ただ多少のグラフやチャートは出てくる。グラフ理論の説明から入り、ランダム・ネットワーク理論、クラスタリングなどの説明が続く。世の中のネットワークはランダム・ネットワーク理論で考えられているのとは異なる。ランダムであればたとえばウェブサイトの被リンク数の分布は正規分布になる筈だが、実際にはそうなっていない。ベキ法則により少数のサイトが被リンクを独占しているのだ。パレートの法則(80:20の法則)もこれに当てはまる。ベキ法則はウェブサイトのリンクだけではなく様々な分野(自然においても)で観察できる。ロングテールもベキ法則に関係があるようだ。
なぜあの商品は急に売れ出したのか―口コミ感染の法則(ASIN:487031469X)も本文中で取り上げられている。突出して多いリンク(交友関係)を獲得している人を「なぜあの商品は急に売れ出したのか」ではコネクターと表現しているが、これがこの本ではハブとなっている。ハブが存在するために、広大なネットワークの中でも短い距離で誰とでも接点を持つことが出来るのだ。人間社会のネットワークではSix Degreeが当てはまり、6人を通せば誰とでも接点を持つことが出来るという。
航空の路線図ではベキ法則が成り立ち(少数のハブ空港に多くの路線が集中する)、高速道路のつながりでは正規分布に近い。
職探しには、親しい友人よりも単なる知り合いのほうが有効という指摘も興味深い。親しい友人はお互いに友人であることが多く、これをクラスターと呼ぶ。クラスター内部では強い人間関係が成立しているが、そのために多くの情報を共有しており新しい情報(仕事の情報)を見つけることができない。
なんか関連する本も読んでしまいそうな予感。