インドとパキスタン

Pakistan and India: A rivalry that threatens the world | The Economist
最近のThe Economistパキスタンの記事を読んでいれば特に違和感はないが、パキスタンではインドに対する不信感が極めて強い。これはパキスタン独立のころにまでさかのぼる。国内に生息するイスラム系テロリストよりもインドのほうが大きな脅威と軍部は認識している。それどころか、ビンラディン殺害から伺えるように、軍部はイスラム系テロリストとつながっているとさえ考えられている。この背景には本格的なインドとの戦争をするまでの代替手段として、テロリストを使った代理戦争を行おうとする軍部の意志があるようだ。ただ自宅で、他人を攻撃するために毒蛇を飼っているのと同じように、他人だけではなく自分もたまには嚼まれてしまうというリスクがある。つまり国内のイスラム系テロリストそのものがパキスタン国内の政治を混乱に導いているのだ。またアフガニスタンが安定しないのも、パキスタンとインドの関係が悪いこととリンクしている。パキスタンアフガニスタンにインドと良好な関係を持つ政権ができるのを恐れているためだ。
こんな事情があるので、インドとパキスタンの関係を良好なものにする必要があるのだが、特にパキスタン側の敵対心は根深いものがあり、なかなか難しいようだ。ただ本当に国民はインドに対して不安感を持っているのかどうか、見極めるのも困難だ。というのもパキスタンの軍部はインドに対する恐怖心・不信感を国民のあいだで煽ることで、軍部を聖域扱いにしてきたという経緯があり、この現状を維持する方が軍部にもメリットがあるためだ。ただパキスタンは、インドと同じように核兵器保有しており、インドとは違って核兵器を先制攻撃に使うことを否定していないため、関係悪化を放置することは核戦争のリスクも増すことになる。