20050930

以下の記事を読んだ。
・ラリー・エリソン率いるOracle(オラクル)が、細分化して過当競争の状況にあるソフトウェア業界の整理統合に乗り出している。これはほぼ1世紀前のJ.P.Morganの行動に類似している。モルガンの場合は、製鉄会社や鉄道会社などを不況時に安く買い集め統合したが、エリソンはこれと同じことをソフトウェア業界で行っているのだ。同氏は以前よりソフトウェア業界も、他の業界と同様に成熟化と同時に整理統合が避けられないと述べていた。もちろんオラクルではなくマイクロソフトが同じことを行ってもよいのだが、その場合は独禁法の問題が生じる。またオラクルのほうがシリコンバレーの企業には受け入れられやすいという面もある。


・受刑者が余命幾ばくもないと判断された際に、仮釈放を認めるべきか否か。この問題は受刑者の高齢化が急速に進むにつれて大きな問題となっている。刑罰の厳格化により刑期が長期化していることが受刑者の高齢化の背景にある。また犯罪を犯して刑務所に入る人たちの多くは健康面でも問題を抱えていることが多く、病気にかかりやすいと見られている。刑務所内で治療を行うとなると、治療費は州政府が負担することになり、州財政を圧迫することになる。仮釈放すればこれらの財政負担は削減されるため、州によっては財政的な理由で仮釈放を認めることもある。

被害者の遺族の感情を考えると、余命幾ばくもないという理由で釈放するのは難しそうだ。


・台湾の2大航空会社であるChina AirlinesとEVA Airwaysは中国本土への就航の期待で株価が左右されることが多い。ただ現在は見通しは芳しくないことに加えて、燃料コストの上昇を嫌気して年初からは株価は下落している。この2社とも、貨物輸送で多くの売上を稼いでおり、ハイテクなどの製造拠点が台湾から中国本土に移転するにつれて、貨物取扱高も減少している。そのため中国への就航は非常に重要な問題である。今年の旧正月にはチャーター便の飛行が認められたことに加え、最近は欧州路線の飛行で中国上空を通過することも認められている。そのためこの2社が中国本土への就航ももうすぐではないかとの見方もある。ただし、認められたとしても、低価格の中国本土の航空会社が台湾に乗り入れてくることは避けられないため、価格競争が厳しくなるとの見方もある。


カトリーナの被害を受けて、2大慈善団体である救世軍(Salvation Army)と赤十字が被害者の支援を行っているが、救世軍が被害者からの信頼・感謝を独占している状況にある。救世軍は名称が示す通り軍隊のような組織形態であり、多くの従業員を抱えていることから、被害者に対して迅速で組織だった対応が可能であるのに対して、赤十字は対応の遅れが批判されている。救世軍は常設のシェルターで常に貧困者たちへの援助を行っており、援助に対するトレーニングを積んでいるのに対して、赤十字のボランティアは経験不足であり、援助活動でも役に立たないことが多い。中には自宅に帰ってしまうこともあるという。

赤十字は知っていても、救世軍はあまりなじみがない。スヌーピーの漫画に登場していたのを思い出した程度だ。


・売上の減少に苦しむ出版業界で新たな問題が登場してきた。ネットを通じて新古本(barely-used book)の販売が増加してきたためだ。もちろん古本販売は昔から存在していたが、ネットの普及により販売・購入が格段に容易になった。アマゾンではマーケットプレイスを利用して、新品と新古本が同じページで販売されている。そうなると価格の差が歴然と消費者に示されることになる。新刊として発売されて数日後には新古本として販売されることになる。売り手はすでに読んでしまった読者や、出版社から批評を書くために受け取った評論家、通常の書店(消費者から店頭で買い入れネットで転売する)などがある。出版業界の中には、新刊として発売されてから一定期間は新古本の販売ができないようにしてほしいとの要望が出ている。またアマゾンなどは販売価格の一定比率を出版社に提供し、著者にも利益を還元すべきだと主張している。

私もよくマーケットプレイスは利用するので、新刊書への影響が大きいことはよく分かる。共存共栄のためにも一定期間はマーケットプレイスへの登録ができないようにするのもいいかもしれない。


・航空会社とクレジットカード会社の複雑な関係。クレジットカード会社は、マイレージを購入したり共同ブランドのカードを発行しているので、航空会社が存続すること対して大きな利害を有している。また航空券の販売の多くがクレジットカードで行われるという事情もある。クレジットカード会社は、会員がカードで航空券を購入し、実際のフライトまでに航空会社の経営が行き詰まりフライトが行われなくなってしまうと、会員対してカード会社が払い戻しを行う義務が生じる。そのためカード会社の中には、カードで行われた航空券の販売代金を航空会社に提供せずに留保するケースが生じていた。皮肉なことにそのように留保しておきながら、航空会社の存続のために融資を提供しているケースもある。