ストラスカーン逮捕に見る欧米文化の違い

Charlemagne: Decoding DSK | The Economist
最近のニュースで一番びっくりしたのがIMFのトップであるストラスカーンの逮捕だ。しかも婦女暴行容疑で。フランス大統領選挙出馬を目前にしてこんな犯罪で捕まるなんて陰謀でもありそうだなと一瞬感じたが、この記事を読んでいるとそうでもなさそうだ。
ストラスカーン(長いのでこの記事と同じくDSKと略す)をIMFに送り込んだのが現フランス大統領のサルコジだったわけだが、部下と不倫しただけで大統領を首にされる寸前にまで追い詰められる(クリントン大統領の弾劾裁判)のが米国の文化だとDSKに警告したらしい。米国では公職にある人物が不倫をするなんてもってのほかだが、フランスでは逆にそれはプラス材料になったりするというから不思議な話だ。しかもマスコミも寝室の中の出来事は報道しないのがフランス流であり、そんなタブーはないのが米国流だ。最近もシュワルツネガー元カリフォルニア州知事に隠し子が居たとの報道で大騒ぎになっているが、おそらくフランスだとこんな報道はされないのだろう。
もう一点、欧米の違いで興味深いのが、犯罪者に対する報道姿勢である。米国では、手錠姿の容疑者をカメラの前で歩かせる(perp walk)し、DSKの場合も特別な配慮はなかった。しかしフランスではこのようなことは禁止されているという。刑事事件の裁判でも、カメラまで持ち込んで一種のショーとなっている米国と、できる限り外部の目から遮断して静かに執り行おうとするフランスといった具合に極端に異なる。ただ、イスラム系移民の女性の訴えで、IMFトップを逮捕してしまうという米国のほうが、法の下での平等という点では一貫しているような気がする。