政治家とtwitter

Politics and Twitter :Sweet to tweet
"governing is different from campaigning"という表現をThe economistでは目にしたことがある。オバマ大統領を評した際に用いられていた。支持者にとって受けがよいことを訴えているだけでよかった選挙運動(campaigning)と、いろいろな関係者の利害の調整を行う必要がある国政運営(governing)とは本質的に異なるというのはよく分かる。
現在、誰よりもこの点を身にしみているのは鳩山首相だろう。普天間基地のことなどマニフェストに入れなければ良かったと考えているのではないか。おそらく万年野党という時代に生み出された思考回路が原因なのだろうと思う。自民党が常に政権を握り、政権交代など夢のまた夢という状況であれば、野党は決して国政を携わるわけではないので政権を取った後にどうするのか、深く考えることもなく好きなことを選挙運動で言いっぱなしにすることができた。今後は民主党に限らず、他の政党(政権にかかわるつもりのある政党)も実現可能性を考えてマニフェストを作成するようになってくれば、多少は今回の一件も政治にはプラスになったのかもしれない。
この少し前のThe economistの記事を読んで考えたのは、そんなことだった。twitterは140文字までしか投稿できない。そのため野党政治家には使いやすいが、与党政治家には使いこなすのが難しいツールである。「沖縄から米軍基地を撤退させろ!」というメッセージはもちろん140文字には収まる。しかし日本の安全保障や米国との関係やもちろん沖縄県の負担など対立する利害をどのように調整するか、そんなややこしい問題はとても140文字では書ききれないだろう。実際のところアメリカでは「野党」共和党の議員のほうが「与党」民主党議員よりもtwitter利用率が高いらしい。
そう考えると、政治家がtwitterで活動するのは本当によいことなのか、気になってくる。難しい問題を有権者に説明することよりも、140文字で収まるような簡単なキャッチフレーズが氾濫するようになるのではないかという不安もある。

twitterといえば、少し前に、the economistSNSスペシャルレポートで意外なことが書いてあった。詳細な数値は覚えていないが、twitterのユーザーのうち、かなりの割合が、自らはなにもつぶやかずに、誰かをfollowしているだけらしい。双方向というよりも放送のようなメディアとして使われているという側面もあるようだ。